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地下鉄ゲーム

鉄道をテーマにしたゲームは種々多様ですが、今回はフランスのメトロを舞台にしたゲーム、
「ル ジュ デュ メトロ(Le jeu du Métro)地下鉄ゲーム」を紹介したいと思います。

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ウィッティークロノスを出しているウィッティーエディスィオンからでています。
このゲームはレピーヌコンテストで金賞を受賞しています。


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メトロの車両カード。


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自分や他人のメトロの車両に乗る乗客を増減させるアクションカード。

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スペシャルアクションカード

2人から6人まで遊べます。

ルール

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各自、好きな色のメトロの車両カードを取り、そこにミープル(乗客)10人を乗せる。(ミープルはどの色でも構わない)

残りのミープルは中央に置く。

各自、秘密裏に目的カード(後述)を受け取る。余った目的カードは箱にしまう。

各人に4枚カードを配って残りは山札にする。


手番では

A) カードを一枚選んでアクションを実行する。その後、山札から1枚引く。
B)カードを一枚以上捨て、捨てた枚数だけ山札から引く。

A、Bのいずれかをプレイする。


アクションに次のようなものがあります。

例)自分や他のプレイヤーの車両の乗客を増減させる。
例)自分や他のプレイヤー(同士)の車両や目的カードを交換する(させる)。


勝利条件


誰かが目的カードに示された条件を満たした時、ゲーム終了。場合によっては勝者が2人になることもある。

目的カード。

ゲーム進行の鍵となる目的カード。各自それぞれ違います。4種類、計6枚あります。

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自分の車両に乗客が1人もいなくなったら勝ち。2枚。

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自分の車両に乗客が20人以上乗ったら勝ち。2枚。

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右隣のプレイヤーの車両に乗客が1人もいなくなったら勝ち。1枚。

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左隣のプレイヤーの車両に 乗客が20人以上乗ったら勝ち。1枚。


おわかりのように隣同士のプレイヤーの勝利条件の目的が揃うことがあるので勝者が2人になることもあります。


所感

恐らく大多数の日本人にはとくにこれといった印象を受けるゲームではないかもしれません。しかしこのゲームがフランスで賞を取ったのは、このゲームと地下鉄で見られる日常にフランス人が共感したにほかならないと考えられます。

パリでは日本の地下鉄では想像もつかないようなことが起こります。

アコーディオンを弾く人

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パリの地下鉄の駅構内では楽器を弾いている人たちがいます。これは許可を取ってその場所を借りているわけですが、中には電車に乗ってきて歌を歌ったり、楽器を演奏し始めます。(本来これは無許可)。歌い終わるとお金を集めに来ます。

不審物

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「この先の駅で不審物が発見されたため、電車を止めます」という車内放送をよく聞かされます。モンパルナス駅等の大きな乗換駅で発生することが多く、そのために電車内で数十分足止めされたり、その路線の全列車の運行がストップしてしまうこともあります。

検札

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パリの地下鉄では改札口は 切符やナヴィゴ(日本のSuicaのようなもの)を通してから遊園地の入り口にあるようなバーを押して、さらにその先にある壁を押してプラットフォームに入ります。
切符やナヴィゴを通さないと、バーも押せず、壁も動きません。

しかし誰かの後ろにぴったりついてバーを飛び越えて、押された壁が元の位置に戻る前に抜けようとする人がいます。いわゆる「ただ乗り」です。これは日常的に見られ、鉄道会社はときどき抜き打ち検査を駅の中や、電車の中で行います。

スリ

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「ピックポケット(スリ)に注意」と駅の構内でしきりに放送があるように、車内スリは頻繁に起こります。観光客はとくに狙われ、リュックサックは前に抱えて持つのが基本です。

この他、ゲームは出てきませんが、以下のようなこともあります。

停電


どの路線でもよく発生します。電源が落ち、車内が暗くなるのですが、非常電源がつくので真っ暗ということにはなりません。大抵は数分で復旧しますが、私は一度40分以上待ったあげく、復旧の見込みが経たないので次の駅までトンネル内を歩かされたことがありました。

携帯電話での会話


日本では車内での携帯電話での通話はマナー違反ですが、こちらは周りを気にせず皆平気で話しています。携帯電話の使用を周りが容認するのは、先ほどのように電車がしょっちゅう止まり、その度に会社や待ち合わせの人に電話をしなければならないという事情もあります。

落書き

パリの地下鉄はもう落書きだらけです。とくにトンネル内はほとんどが落書きで埋め尽くされています。「いったいどうやって?」という驚きと同時に、日本の地下鉄がいかにきれいかを客観的に教えてもくれます。

その他

(これがもっとも重要なのですが)パリの地下鉄の駅にはトイレがありません。


プレイ感


4枚しかない手札のカードでは長期的戦略は練れませんが、プレイする度、手札はめまぐるしく変わるので他のプレイヤーの動きを見ながら臨機応変に対応します。

目的カードがくせ者で、勝利条件が隣のプレイヤーと一致した場合、協力ゲームとなるのですが、まったく逆だった場合、邪魔ばかりされます。そんなはた迷惑な隣のプレイヤーの目的カードを変えたり、あるいは自分が目的カードや車両を変えたりして対処します。

協力した場合でも、他のプレイヤーによって車両や目的カードを交換させられることもあるのですんなりと勝てるというわけではありません。

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他人(自分も含む)のプレイヤーの目的カードを交換するスペシャルアクションカード。

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他人(自分も含む)のプレイヤーの車両を交換するスペシャルアクションカード

他のプレイヤーに自分の目的カードを読まれると、まず目的カードや車両を交換されてしまいます。そうならないようにブラフをしたり、自分も目的カードや車両を交換するカードを取っておいて対抗します。

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アクションカードの中には車両にくっついて、その車両カードを持つプレイヤーがプレイする度に乗客が増える効果を持つカードもあります。(検札はその逆の効果)。このカードは車両が交換されてもそのままくっついていきます。ゲームを収束させるのに工夫されたカードといえます。

車両カードに20人ちかく乗せるのは結構きつく、乗客にはきちんと乗ってもらわなければいけません。

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良い例

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悪い例


このゲーム、「本当に終わるのか?」と思った数分後に終わります。そう思う頃には皆、各人の目的カードが予想できているのであとはどのタイミングで出し抜くかが鍵となってきます。

序盤は他のプレイヤーの目的を推測しつつ妨害し、中盤以降は目的や車両を変更するカードをキープするか、それがなければ要らないカードを複数捨て、目的や車両を変更するカードを獲得し、他のプレイヤーと干渉し合うというのが、このゲームの基本戦術かと思われます。また隣のプレイヤーの目的カードを推測しつつ、1人勝ちを狙うか、協力するかを考えながらプレイすることになるでしょう。

まあ、それでも目的や車両を変更するカードを引けないと運ゲーになってしまうのですが、フランス人にはそれがパリのメトロに振り回される自分達と重なるのでしょう。

まとめ

おおざっぱなゲームと言われればそれまでです。ただ日本の地下鉄と、フランスの地下鉄での情景には大きなギャップがあります。上に書いたようなパリの地下鉄の事情を知るとフランス人がこのゲームを評価した理由が少しずつわかることでしょう。

COMMENTS

関係のない話ですが・・・

返還前の香港を旅行したことがあり。現地の方に、

「SUBWAY?」

を尋ねてみたところ、全く分からず・・・

ファーストフードのお店には連れて行かれませんでしたが・・・

あちらでは「メトロ!」って言うそうですね。

No title

香港に行ったことはないのですが、ネットで調べるとMTRという言い方をするみたいですが、現地では実際どう言われるのでしょう。

Subwayはアメリカ英語で、イギリス英語だとtubeとか、undergroundで香港ならイギリス英語かと思ったのですが。

北京ではBeijing Subwayで、上海はShanghai Metroですね。

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