コロンバ
カルカソンヌのような陣取りゲームは多くの種類出回っていますが、今回はハトをテーマにした陣取りゲーム、コロンバ(Columba)を紹介したいと思います。

このゲーム、現時点のトリックトラックでの評価は高く、またジュソックでも

の評価を受けています。2人から4人までプレイできます。4人プレイは2人一組のチーム戦です。
背景
コロンバとはラテン語で「ハト」を意味する単語。また英語でも仏語でもハト目ハト科のカワラバト属を意味する語として使われています。ちなみにハトは仏語でピジョン(pigeon)、英語ではビジョンまたはドゥヴ (dove)と言います。
かつてイングランドやフランスではハトを食料用として、またそのフンを肥料として確保するためにハト小屋が造られました。コロンビエと呼ばれたこのハト小屋の所有は上流階級の特権であり、権力の誇示でもありました。19世紀に入るとピジョニエとも呼ばれるようになり、フランス南西部では今でも現存するハト小屋を見つけることが出来ます。

プレイヤーボードと駒、ハトタイル。

4種類のハトが描かれたカード。左側はゲーム開始時に使う初期目的カード。裏面に1羽のハトだけ濃く印刷されています。

ボードゲームの駒としてはかなり大きいです。右側はカルカソンヌのミープル。
ルール
準備
各自ボードと対応する色のハト小屋を取る。
2人プレイ 大きいハト小屋1個、小さいハト小屋3個
3人プレイ 大きいハト小屋1個、小さいハト小屋2個
4人プレイ 大きいハト小屋1個、小さいハト小屋1個

初期目的カードをボードの左に配置。ハト小屋は右に配置。使わない初期目的カードは箱にしまう。
カードをよく切り、山札にする。一番上のカードを表向きにして場の中央に置く。
ゲームの流れ
手番において
ア)[必須]山札の一番上のカードを引き、場に配置する。
イ)[任意]ハト小屋、手持ちのハトタイル、ハヤブサタイルをカードの上に配置する。
ハヤブサのヒナを獲得するまたはヒナを大人のハヤブサにする
ア)イ)の順番はどちらでもよい。
アー1)カードの配置 ハトの捕獲なし
場にあるタイルの辺に接するように配置します。辺の半分が接するように置いてもかまいませんが、角同士だけで接するように置くことはできません。

(写真A) 緑の手番。右下は山札から引いたカード。上部薄緑色の4マスは赤のハト小屋の領地。

カードの配置の一例。緑のハト小屋を配置する時は赤のハト小屋の領地以外に置くことが出来ます。一度配置したハト小屋は動かせません。
アー2)カードの配置 ハトの捕獲
場にあるカードの上に重ねることが出来ます。このとき重ねた部分のハトをストックから取ることが出来ます。
ただしこの置き方にはいくつか条件があります。
捕獲条件:
目的カードに提示されたハトしか捕獲できない。種類だけでなく数も厳守。
ハト小屋があるマスや他のプレイヤーのハト小屋の領地の上にカードを配置することはできない。

(写真A)の状態では薄緑色、白色、小豆色、青緑色のハトそれぞれ1羽ずつ捕獲することが出来ます。カードを上の写真のように配置すると重なって隠れたハトを捕獲できます。ストックから白色と青緑色のハトタイルを手に入れることができます。

捕獲したハトタイルは目的カードの対応する種類のハトの絵の上に配置します。この後はまだハトタイルが置かれていないハトが捕獲できる対象のハトになります。

この場合、薄緑色、小豆色のハトそれぞれ1羽ずつだけ捕獲することが出来ます。

(写真A)のとき、上の写真のようにカードを配置することはできません。白色のハトを2羽捕獲してしまうことになるからです。

重なった部分に赤のハト小屋の領地。よって上の写真のように重ねることはできません。

その後の展開。緑の手番で右下は山札から引いたカード。

(例1)カードを重ねずに配置。

(例2)薄緑色、小豆色のハトそれぞれ1羽ずつ捕獲するためにカードを重ねて配置。自分の領地のハトは捕獲することが出来ます。

4羽のハトが揃うとその野生バトのタイルを自分のボードの右側に移して、目的カードを場に配置することが出来ます。このハトタイルは手持ちのハトタイルになります。

このとき山札からカードを1枚また引いて自分のボード上に置きます。これが新たな目的カードになります。前の目的カードは山札から引いたカードを確認してから場に置いてもかまいません。
このとき山札からカードを引きたくない場合は引かなくてもかまいません。ゲーム終了時に達成できなかった目的カードは4点の減点になるからです。目的カードを自分のボードに置かなかった場合、その後はハトを捕獲することは出来ません。(ア−1)のみ可 カードの重ね置き不可)
手持ちのハトタイルは自分の手番で他人の領地やハト小屋のあるマスでなければ好きなマスに配置することができます。ただし必ずどこかの領地とつながっているように置かなければいけません。この条件を満たすならカードの上でなくてもテーブルの上にそのまま置くことも出来ます。
場に配置したハトタイルは自分の領地あるいは他のプレイヤーの領地にあったものがハヤブサ(下記)によって野生のテリトリーになった場合は捕獲できます
注意:カードやハトタイルは一つの領地に複数のハト小屋(自分のも含む)があるように配置してはいけません。
ハヤブサ
確保した手持ちのハトタイル2枚を捨てることによってハヤブサのヒナを手に入れることができます。ヒナのタイルを自分のボードの上に置きます。
その後の手番でまたハトタイル2枚を捨てることによってヒナを大人のハヤブサに成長させることができます。ハヤブサは自分の手番で好きなときに場に配置することができます。
ハヤブサのタイルは他人の領地に配置することが出来ます。(ただしハト小屋のあるマスは不可)
ハヤブサによって領地は寸断され、ハト小屋から隔絶されたマスは野生のハトの領域に戻ります。
一手番ではヒナを手に入れるか、ヒナを大人のハヤブサに成長させるかのどちらかしかできません。
不可:
一手番でヒナを手に入れ、そのヒナをさらに大人のハヤブサにする。
一手番ですでに獲得したヒナを大人のハヤブサにし、さらに新しいヒナを手に入れる。

獰猛で非情なハヤブサ。俊敏な動きでハトを襲います。裏面はハヤブサのヒナなのですが。。。。

これがなにげに可愛い!!
ハヤブサやハトタイルの使用例

1)緑の手番においてカード(写真右下)を山札から引いた後

2)赤のハト小屋の右にハヤブサタイルを配置。右側の赤の領地は寸断され野生のハトのテリトリーに戻ります。

3)カードを配置。赤の領地だったテリトリーが右側の緑のハト小屋の所有する領地に取り込まれました。

4)手持ちのハトタイルを配置して領地を拡大。
注:3)においてハヤブサタイルを置く前にこのようにカードを置くことは出来ません。赤の領地と緑の領地がつながってしまうからです。
ゲーム終了
山札の最後のカードが引いたプレイヤーがアクションを全て終わらせたら終了。
大きなハト小屋の領地 1マスにつき2点
小さなハト小屋の領地 1マスにつき1点
達成できなかった目的カード 4点減点
で計算。
トータルで最高得点者が勝者。同点の場合は一番大きい領地を有したプレイヤーが勝者。
4人プレイの場合
チームメートの領地のハトを捕獲できます。ただし確保したハトタイルはチームメートに渡すことは出来ません。各自の目的カードの条件は自分で達成しなければいけません。合計得点が多いチームが勝者。
所感
これまでプレイしたゲームの中には、ルールを読んだだけでは「?」で、実際にゲームをしてみると「!!」「!!!」だったりすることがあったのですが、このゲームはルールを読んだ時点で「!」でした。
カルカソンヌのような陣取りゲームではときにそのタイルの配置状況からパズルのような様相を呈すことがありますが、このゲームはまるで「パズルの中にパズルがある」ような感じがします。
ハトか、領地か、それが問題だ。
陣取りゲームではタイル(ここではカード)の構成が結構重要だったりするのですが、このゲームではそのカード構成が実にうまく設定されていて毎手番、悩ましい展開になります。
ハトの種類は4つ。ハトが全部違うカードは初期目的カードのみ。それ以外は同じ種類のハトが2羽か、3羽ある構成です。例えば3羽同じ種類のカードを引いたとき、その種類のハトの領地を拡げたいと思うのですが、目的カードのことも念頭に入れておかなければいけません。
各手番で領地を拡大するか、ハトの捕獲を優先するか、両方同時にうまくできれば願ったり叶ったりですが、なかなかそうはいきません。
またそういったカードが目的カードになったとき、一度に同じ種類のハトを2羽、3羽と捕獲するのは難しくなってきます。
というのもゲーム中盤以降になるとそんなに同じ種類のハトが固まっている場所は、自分か誰かの領地になっていることが多く、自分の領地を削ってでもハトを捕獲するべきか、別の場所へ配置して領地を拡大すべきか等、最後まで悩む展開になります。
手番に静と動がある
通常は1枚しか場に置けないカード。しかし目的カードのハト捕獲条件を達成するともう1枚カードを場に、つまり一手番にカードを2枚場に配置できます。このときはやはりうれしいもの。
しかし毎手番そういうことにはならないので、この手番ではハトを獲らずに手堅く領地を拡大、でもこの手番ではハトを確保して、目的カードをまた場に配置、さらにハトタイルを配置して、、、と各手番に緩急があり、変化に富んでいます。
リズミカルにタン、タンとカードやハトタイルを置けるとなんともいえない心地よさを感じます。
とくに欲しいハトが2羽以上ちょうど確保できて目的カードを場に置けるときは、ブロックスでゲーム終盤入り組んだ盤上に自分のピースがぴったり入った時の快感にも似ています。
また確率は非常に低いとは思いますが、4つのハトを同時に獲得できることもありえます。そうなると一手番でカードを3枚以上配置することも可能になります。
もし一度に4つハトを確保できたら、麻雀で言えば役満を、バックギャモンで言えばバックギャモン勝ちをしたような心境にも似ているかもしれません。多少誇張は入っていますが。。。
直接攻撃
ユーロゲームを語る上で避けて通れぬ話題が直接攻撃の有無。その是非についてはここでは取り上げませんが、コロンバには直接攻撃が存在します。しかしこのゲームのルールにはそれなり工夫が凝らしてあるのが垣間見れます。
ウォーゲームなどでは勢力を拡大したプレイヤーが圧倒的な資源や資金力に物をいわせて弱小国を攻め続けるという展開がよく起こります。2人ゲームでは攻められる方はほぼ詰み状態。3人以上なら第3者の助けを請うパターンです。
しかしこのゲームでは一部のプレイヤーが一方的に野生のハトをどんどん確保できるような展開になることはなく、また確保したハトをハヤブサのヒナを獲得するためにすぐに捨ててしまうのも考えものです。
また上述したように攻撃するにはまず目的カードの条件を満たして自分の野生バトを入手し、つぎにハトを捨ててヒナを育て、その次以降のターンでハヤブサにするというふうに、すぐに攻撃できるわけではないので、攻撃する方だけでなく、攻撃される方もそれなりに攻撃に対して備えることができます。
攻撃される側の立場
いきなり何の前触れもなく攻撃されるわけではないので、攻撃に対する準備をする余地があります。
自分の領地の形を考える。
例えば極端に横伸びした領地でハト小屋を片端に配置した形にしてしまうとハヤブサの格好の餌食です。「いずれ攻撃される」という前提で形を考えながら領地を拡げていくことが大切です。自分の領地にするときは急所になりそうなところにハト小屋を配置してブロックすることも考慮にいれます。
小さなハト小屋でも得点を軽視しない
大きなハト小屋の領地は当然狙われやすく、それだけに小さなハト小屋でもしっかりと点を稼げるように手抜かりなくプレイしなければいけません。
自衛のための武装
ハヤブサの攻撃は非常に強烈なので何も手を打たないとまた2度目の襲撃を食らうこともあります。そのためにも自分もヒナを確保して相手を牽制することも考えなくてはいけないでしょう。言うなれば、攻撃するためにヒナを獲得するのではなく、攻撃されないためにヒナを確保しておくという国防の基礎のような概念でしょうか。
他のプレイヤーの領地のハトの種類を考慮する。
ハヤブサの攻撃は相手の領地を「減らす」ことと「奪う」のが目的ですが、攻撃する方は自分の領地と違う種類のハトの領地を奪うことは出来ません。他のプレイヤーの手持ちのハト小屋の数、領地のハトの種類を考えながら、相手が攻撃しても「奪う」ことができないような領地を拡張していけば攻撃による被害は防げなくても、攻撃側の利益は最小限に抑えられます。
ゲームの終わりをコントロールする。
ハヤブサの攻撃は、反撃されない最後の手番が効果的。その為にはだれの手番でゲームが終わるか終盤の山札のカードの状況をチェックしておくことが肝心です。しかしさきほど説明したように誰かが1手番でカードを2枚引くような状況もありうるので最後までわかりません。ハヤブサを使う前に自分の手番の前でゲームが終わった時は「ああ、やはりその前のターンで使っておけばよかった」という後悔の念にかられます。自分がそうならないために注意するだけでなく、相手にそうさせるために終盤で敢えて4点程度の失点覚悟で目的カードを引くという手もありです。
攻撃する側の立場
攻撃をして結果的に得をするか?
攻撃される側には非常に脅威ですが、攻撃側が必ずしも最後に得をするかどうかはわかりません。自分の獲得したハトを捨てることによって初めて攻撃が可能になるので、身を削りながらの攻撃になります。
その後、引くカードによっては「ああ、あのときあのハトを捨てなければよかった。。。」ということが起こらないとも限りません。また相手プレイヤーがハヤブサやヒナをすでに持っている場合は当然反撃されるのを覚悟しなければなりません。とくに3人プレイでは、攻撃することで反撃を喰らい、結果的に第3者が漁父の利を得るということもあるわけで使うタイミングも重要です。早いうちに攻撃するとあとでどんでん返しをくらうことも危惧せねばなりません。
攻撃を最大限に活かすために
攻撃される側の立場の項でも述べたように、攻撃対象の領地のハトの種類が自分の領地のハトの種類と違えば、領地を奪うことはできません。意図的に相手と同じハトの種類の領地を確保するか、手持ちのハト小屋を温存しておくことも考えておく必要があります。ただし自分の領地が逆に相手に奪われる可能性があることも忘れてはいけません。
プレイ人数
カルカソンヌのような陣取りゲームでは、4、5人でプレイすると思ったように得点が取れず、混沌とした展開になることがあります。そういった問題点を考慮してか、このゲームにおいて4人プレイは2人一組のチーム戦となっています。
プレイ時間
カードは最初に場に置かれた1枚を含めて30枚。一手番で2枚置けることもあり、30分程度で楽しめることが出来ます。
まとめ
オーソドックスな陣取りゲームですが、カルカソンヌのように楽しめ、またカルカソンヌとは違った楽しさがあります。
リズミカルなプレイを楽しむならなんといっても2人プレイがお勧め。三つ巴の緊張感を楽しむなら3人プレイ。一方で4人ではチーム戦となり、ちょっと微妙な立ち位置になりそうです。
正直ハヤブサがないほうが初心者同士で遊ぶときは楽しいのですが、それだと逆転の要素が減る分、コアなゲーマーは納得しないでしょう。強烈なハヤブサの攻撃。プレイヤー同士でこの点をうまくクリアできれば十分楽しめるでしょう。

このゲーム、現時点のトリックトラックでの評価は高く、またジュソックでも



背景
コロンバとはラテン語で「ハト」を意味する単語。また英語でも仏語でもハト目ハト科のカワラバト属を意味する語として使われています。ちなみにハトは仏語でピジョン(pigeon)、英語ではビジョンまたはドゥヴ (dove)と言います。
かつてイングランドやフランスではハトを食料用として、またそのフンを肥料として確保するためにハト小屋が造られました。コロンビエと呼ばれたこのハト小屋の所有は上流階級の特権であり、権力の誇示でもありました。19世紀に入るとピジョニエとも呼ばれるようになり、フランス南西部では今でも現存するハト小屋を見つけることが出来ます。

プレイヤーボードと駒、ハトタイル。

4種類のハトが描かれたカード。左側はゲーム開始時に使う初期目的カード。裏面に1羽のハトだけ濃く印刷されています。

ボードゲームの駒としてはかなり大きいです。右側はカルカソンヌのミープル。
ルール
準備
各自ボードと対応する色のハト小屋を取る。
2人プレイ 大きいハト小屋1個、小さいハト小屋3個
3人プレイ 大きいハト小屋1個、小さいハト小屋2個
4人プレイ 大きいハト小屋1個、小さいハト小屋1個

初期目的カードをボードの左に配置。ハト小屋は右に配置。使わない初期目的カードは箱にしまう。
カードをよく切り、山札にする。一番上のカードを表向きにして場の中央に置く。
ゲームの流れ
手番において
ア)[必須]山札の一番上のカードを引き、場に配置する。
イ)[任意]ハト小屋、手持ちのハトタイル、ハヤブサタイルをカードの上に配置する。
ハヤブサのヒナを獲得するまたはヒナを大人のハヤブサにする
ア)イ)の順番はどちらでもよい。
アー1)カードの配置 ハトの捕獲なし
場にあるタイルの辺に接するように配置します。辺の半分が接するように置いてもかまいませんが、角同士だけで接するように置くことはできません。

(写真A) 緑の手番。右下は山札から引いたカード。上部薄緑色の4マスは赤のハト小屋の領地。

カードの配置の一例。緑のハト小屋を配置する時は赤のハト小屋の領地以外に置くことが出来ます。一度配置したハト小屋は動かせません。
アー2)カードの配置 ハトの捕獲
場にあるカードの上に重ねることが出来ます。このとき重ねた部分のハトをストックから取ることが出来ます。
ただしこの置き方にはいくつか条件があります。
捕獲条件:
目的カードに提示されたハトしか捕獲できない。種類だけでなく数も厳守。
ハト小屋があるマスや他のプレイヤーのハト小屋の領地の上にカードを配置することはできない。

(写真A)の状態では薄緑色、白色、小豆色、青緑色のハトそれぞれ1羽ずつ捕獲することが出来ます。カードを上の写真のように配置すると重なって隠れたハトを捕獲できます。ストックから白色と青緑色のハトタイルを手に入れることができます。

捕獲したハトタイルは目的カードの対応する種類のハトの絵の上に配置します。この後はまだハトタイルが置かれていないハトが捕獲できる対象のハトになります。

この場合、薄緑色、小豆色のハトそれぞれ1羽ずつだけ捕獲することが出来ます。

(写真A)のとき、上の写真のようにカードを配置することはできません。白色のハトを2羽捕獲してしまうことになるからです。

重なった部分に赤のハト小屋の領地。よって上の写真のように重ねることはできません。

その後の展開。緑の手番で右下は山札から引いたカード。

(例1)カードを重ねずに配置。

(例2)薄緑色、小豆色のハトそれぞれ1羽ずつ捕獲するためにカードを重ねて配置。自分の領地のハトは捕獲することが出来ます。

4羽のハトが揃うとその野生バトのタイルを自分のボードの右側に移して、目的カードを場に配置することが出来ます。このハトタイルは手持ちのハトタイルになります。

このとき山札からカードを1枚また引いて自分のボード上に置きます。これが新たな目的カードになります。前の目的カードは山札から引いたカードを確認してから場に置いてもかまいません。
このとき山札からカードを引きたくない場合は引かなくてもかまいません。ゲーム終了時に達成できなかった目的カードは4点の減点になるからです。目的カードを自分のボードに置かなかった場合、その後はハトを捕獲することは出来ません。(ア−1)のみ可 カードの重ね置き不可)
手持ちのハトタイルは自分の手番で他人の領地やハト小屋のあるマスでなければ好きなマスに配置することができます。ただし必ずどこかの領地とつながっているように置かなければいけません。この条件を満たすならカードの上でなくてもテーブルの上にそのまま置くことも出来ます。
場に配置したハトタイルは自分の領地あるいは他のプレイヤーの領地にあったものがハヤブサ(下記)によって野生のテリトリーになった場合は捕獲できます
注意:カードやハトタイルは一つの領地に複数のハト小屋(自分のも含む)があるように配置してはいけません。
ハヤブサ
確保した手持ちのハトタイル2枚を捨てることによってハヤブサのヒナを手に入れることができます。ヒナのタイルを自分のボードの上に置きます。
その後の手番でまたハトタイル2枚を捨てることによってヒナを大人のハヤブサに成長させることができます。ハヤブサは自分の手番で好きなときに場に配置することができます。
ハヤブサのタイルは他人の領地に配置することが出来ます。(ただしハト小屋のあるマスは不可)
ハヤブサによって領地は寸断され、ハト小屋から隔絶されたマスは野生のハトの領域に戻ります。
一手番ではヒナを手に入れるか、ヒナを大人のハヤブサに成長させるかのどちらかしかできません。
不可:
一手番でヒナを手に入れ、そのヒナをさらに大人のハヤブサにする。
一手番ですでに獲得したヒナを大人のハヤブサにし、さらに新しいヒナを手に入れる。

獰猛で非情なハヤブサ。俊敏な動きでハトを襲います。裏面はハヤブサのヒナなのですが。。。。

これがなにげに可愛い!!
ハヤブサやハトタイルの使用例

1)緑の手番においてカード(写真右下)を山札から引いた後

2)赤のハト小屋の右にハヤブサタイルを配置。右側の赤の領地は寸断され野生のハトのテリトリーに戻ります。

3)カードを配置。赤の領地だったテリトリーが右側の緑のハト小屋の所有する領地に取り込まれました。

4)手持ちのハトタイルを配置して領地を拡大。
注:3)においてハヤブサタイルを置く前にこのようにカードを置くことは出来ません。赤の領地と緑の領地がつながってしまうからです。
ゲーム終了
山札の最後のカードが引いたプレイヤーがアクションを全て終わらせたら終了。
大きなハト小屋の領地 1マスにつき2点
小さなハト小屋の領地 1マスにつき1点
達成できなかった目的カード 4点減点
で計算。
トータルで最高得点者が勝者。同点の場合は一番大きい領地を有したプレイヤーが勝者。
4人プレイの場合
チームメートの領地のハトを捕獲できます。ただし確保したハトタイルはチームメートに渡すことは出来ません。各自の目的カードの条件は自分で達成しなければいけません。合計得点が多いチームが勝者。
所感
これまでプレイしたゲームの中には、ルールを読んだだけでは「?」で、実際にゲームをしてみると「!!」「!!!」だったりすることがあったのですが、このゲームはルールを読んだ時点で「!」でした。
カルカソンヌのような陣取りゲームではときにそのタイルの配置状況からパズルのような様相を呈すことがありますが、このゲームはまるで「パズルの中にパズルがある」ような感じがします。
ハトか、領地か、それが問題だ。
陣取りゲームではタイル(ここではカード)の構成が結構重要だったりするのですが、このゲームではそのカード構成が実にうまく設定されていて毎手番、悩ましい展開になります。
ハトの種類は4つ。ハトが全部違うカードは初期目的カードのみ。それ以外は同じ種類のハトが2羽か、3羽ある構成です。例えば3羽同じ種類のカードを引いたとき、その種類のハトの領地を拡げたいと思うのですが、目的カードのことも念頭に入れておかなければいけません。
各手番で領地を拡大するか、ハトの捕獲を優先するか、両方同時にうまくできれば願ったり叶ったりですが、なかなかそうはいきません。
またそういったカードが目的カードになったとき、一度に同じ種類のハトを2羽、3羽と捕獲するのは難しくなってきます。
というのもゲーム中盤以降になるとそんなに同じ種類のハトが固まっている場所は、自分か誰かの領地になっていることが多く、自分の領地を削ってでもハトを捕獲するべきか、別の場所へ配置して領地を拡大すべきか等、最後まで悩む展開になります。
手番に静と動がある
通常は1枚しか場に置けないカード。しかし目的カードのハト捕獲条件を達成するともう1枚カードを場に、つまり一手番にカードを2枚場に配置できます。このときはやはりうれしいもの。
しかし毎手番そういうことにはならないので、この手番ではハトを獲らずに手堅く領地を拡大、でもこの手番ではハトを確保して、目的カードをまた場に配置、さらにハトタイルを配置して、、、と各手番に緩急があり、変化に富んでいます。
リズミカルにタン、タンとカードやハトタイルを置けるとなんともいえない心地よさを感じます。
とくに欲しいハトが2羽以上ちょうど確保できて目的カードを場に置けるときは、ブロックスでゲーム終盤入り組んだ盤上に自分のピースがぴったり入った時の快感にも似ています。
また確率は非常に低いとは思いますが、4つのハトを同時に獲得できることもありえます。そうなると一手番でカードを3枚以上配置することも可能になります。
もし一度に4つハトを確保できたら、麻雀で言えば役満を、バックギャモンで言えばバックギャモン勝ちをしたような心境にも似ているかもしれません。多少誇張は入っていますが。。。
直接攻撃
ユーロゲームを語る上で避けて通れぬ話題が直接攻撃の有無。その是非についてはここでは取り上げませんが、コロンバには直接攻撃が存在します。しかしこのゲームのルールにはそれなり工夫が凝らしてあるのが垣間見れます。
ウォーゲームなどでは勢力を拡大したプレイヤーが圧倒的な資源や資金力に物をいわせて弱小国を攻め続けるという展開がよく起こります。2人ゲームでは攻められる方はほぼ詰み状態。3人以上なら第3者の助けを請うパターンです。
しかしこのゲームでは一部のプレイヤーが一方的に野生のハトをどんどん確保できるような展開になることはなく、また確保したハトをハヤブサのヒナを獲得するためにすぐに捨ててしまうのも考えものです。
また上述したように攻撃するにはまず目的カードの条件を満たして自分の野生バトを入手し、つぎにハトを捨ててヒナを育て、その次以降のターンでハヤブサにするというふうに、すぐに攻撃できるわけではないので、攻撃する方だけでなく、攻撃される方もそれなりに攻撃に対して備えることができます。
攻撃される側の立場
いきなり何の前触れもなく攻撃されるわけではないので、攻撃に対する準備をする余地があります。
自分の領地の形を考える。
例えば極端に横伸びした領地でハト小屋を片端に配置した形にしてしまうとハヤブサの格好の餌食です。「いずれ攻撃される」という前提で形を考えながら領地を拡げていくことが大切です。自分の領地にするときは急所になりそうなところにハト小屋を配置してブロックすることも考慮にいれます。
小さなハト小屋でも得点を軽視しない
大きなハト小屋の領地は当然狙われやすく、それだけに小さなハト小屋でもしっかりと点を稼げるように手抜かりなくプレイしなければいけません。
自衛のための武装
ハヤブサの攻撃は非常に強烈なので何も手を打たないとまた2度目の襲撃を食らうこともあります。そのためにも自分もヒナを確保して相手を牽制することも考えなくてはいけないでしょう。言うなれば、攻撃するためにヒナを獲得するのではなく、攻撃されないためにヒナを確保しておくという国防の基礎のような概念でしょうか。
他のプレイヤーの領地のハトの種類を考慮する。
ハヤブサの攻撃は相手の領地を「減らす」ことと「奪う」のが目的ですが、攻撃する方は自分の領地と違う種類のハトの領地を奪うことは出来ません。他のプレイヤーの手持ちのハト小屋の数、領地のハトの種類を考えながら、相手が攻撃しても「奪う」ことができないような領地を拡張していけば攻撃による被害は防げなくても、攻撃側の利益は最小限に抑えられます。
ゲームの終わりをコントロールする。
ハヤブサの攻撃は、反撃されない最後の手番が効果的。その為にはだれの手番でゲームが終わるか終盤の山札のカードの状況をチェックしておくことが肝心です。しかしさきほど説明したように誰かが1手番でカードを2枚引くような状況もありうるので最後までわかりません。ハヤブサを使う前に自分の手番の前でゲームが終わった時は「ああ、やはりその前のターンで使っておけばよかった」という後悔の念にかられます。自分がそうならないために注意するだけでなく、相手にそうさせるために終盤で敢えて4点程度の失点覚悟で目的カードを引くという手もありです。
攻撃する側の立場
攻撃をして結果的に得をするか?
攻撃される側には非常に脅威ですが、攻撃側が必ずしも最後に得をするかどうかはわかりません。自分の獲得したハトを捨てることによって初めて攻撃が可能になるので、身を削りながらの攻撃になります。
その後、引くカードによっては「ああ、あのときあのハトを捨てなければよかった。。。」ということが起こらないとも限りません。また相手プレイヤーがハヤブサやヒナをすでに持っている場合は当然反撃されるのを覚悟しなければなりません。とくに3人プレイでは、攻撃することで反撃を喰らい、結果的に第3者が漁父の利を得るということもあるわけで使うタイミングも重要です。早いうちに攻撃するとあとでどんでん返しをくらうことも危惧せねばなりません。
攻撃を最大限に活かすために
攻撃される側の立場の項でも述べたように、攻撃対象の領地のハトの種類が自分の領地のハトの種類と違えば、領地を奪うことはできません。意図的に相手と同じハトの種類の領地を確保するか、手持ちのハト小屋を温存しておくことも考えておく必要があります。ただし自分の領地が逆に相手に奪われる可能性があることも忘れてはいけません。
プレイ人数
カルカソンヌのような陣取りゲームでは、4、5人でプレイすると思ったように得点が取れず、混沌とした展開になることがあります。そういった問題点を考慮してか、このゲームにおいて4人プレイは2人一組のチーム戦となっています。
プレイ時間
カードは最初に場に置かれた1枚を含めて30枚。一手番で2枚置けることもあり、30分程度で楽しめることが出来ます。
まとめ
オーソドックスな陣取りゲームですが、カルカソンヌのように楽しめ、またカルカソンヌとは違った楽しさがあります。
リズミカルなプレイを楽しむならなんといっても2人プレイがお勧め。三つ巴の緊張感を楽しむなら3人プレイ。一方で4人ではチーム戦となり、ちょっと微妙な立ち位置になりそうです。
正直ハヤブサがないほうが初心者同士で遊ぶときは楽しいのですが、それだと逆転の要素が減る分、コアなゲーマーは納得しないでしょう。強烈なハヤブサの攻撃。プレイヤー同士でこの点をうまくクリアできれば十分楽しめるでしょう。
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