リュタンとトロル
2人用カードゲームというのは多くありますが、今回は最近出たカードゲーム、リュタンとトロル(Lutin et Troll)を紹介したいと思います。

コンポーネントは箱ではなく袋に入っています。

裏面が赤と緑のカードがそれぞれ25枚(どちらも構成は同じ)ずつ、ライフポイントキューブが12個ずつ、そして10個の勝利トークン。
25枚のカードには緑、青、赤のカードがあります。
ルール
準備
・各プレイヤーは自分の色(赤か緑)を選び、25枚のカードと同じ色のライフポイントキューブ12個を手元に置く。
・両プレイヤーの間に勝利トークン10個を置く。
・25枚のカードから5枚を自由に選んで手札にする。
・残りのカード(20枚)を裏向きにして山札として手元に置く。
先手プレイヤーを決め、以下の流れでプレイする。
コンバット
先手(攻撃)
手札の中から1枚選んで場に出す。
後手(反撃)
手札の中から1枚選んで場に出す。
カードの強弱(後述:カードの効果参照)に応じて、負けた方は失ったライフポイント分、手持ちのキューブを中央に置く。
コンバットに勝った方が次のターンの先手になる。
引き分けの場合は前のコンバットの先手が引き続き先手をする。
ラウンドの終了と勝敗。
(A) あるプレイヤーがライフポイントを全て失った場合。相手プレイヤーの勝ち。
(B) 手札をすべて使い切った場合。残ったライフポイントの多いプレイヤーの勝ち。
ラウンドの勝者は、勝利トークンを1つ受け取る。
使ったカードは各プレイヤー固有の捨て札に置く。
(B)で引き分けの場合、そのまま次のラウンドに進む。
手持ちのカードを使いきらなくても次のラウンドには使用できない。そのまま自分の捨て札に置く。
次のラウンド。
山札から5枚新たに選んで手札にする。
自分のライフポイントキューブを全て回収して手元に置く。
前のラウンドの勝者が先手となり、上記と同様にプレイする。
山札が尽きた場合。(6ラウンド目に入った場合)
25枚の捨て札を全て回収し、5枚を自由に選んで手札にする。
残りのカード(20枚)を山札にして手元に置く。
ゲームの勝敗。
先に勝利トークンを5つ獲得したプレイヤーの勝ち。
カードの効果
緑のカード

緑のカード同士の場合、大きい数字のカードを出したプレイヤーが勝つ。
負けたプレイヤーはカードの数値の差分、ライフポイントを失う。
青のカード。

青のカードは数字にかかわらず、どの緑のカードにも勝つ。
負けたプレイヤーは青のカードの数値分、ライフポイントを失う。
青のカード同士の場合、大きい数字のカードを出したプレイヤーが勝つ。
負けたプレイヤーはカードの数値の差分、ライフポイントを失う。
赤のカード。
赤のカードは緑、青のカードに一方的に勝つ。
それぞれ特殊効果がある。
ニンフ

相手のカードにかかわらず、効果を無効にする。
ハーピー

相手の出したカードの数値分、相手はライフポイントを失う。
マンドレイク

相手の出したカードの数値分、失った自分のライフポイントを回収できる。
赤のカード同士の場合、どちらのカードの効果も無効になる。先手が引き続き次のターンの先手をする
**************************************************
所感
シンプルなルールですが、要所要所で駆け引きの必要なゲームです。
コンバットの勝敗
出されたカードに対して選べる分、後手が有利なので場合によっては敢えて負けや引き分けを選ぶといったことも考えられます。
先手は後手のそういった心理を考えて、敢えて弱いカードを出して揺さぶりをかけることも手です。
また後手に徹していても手札の数が少なくなると選択肢も狭まり、先手の術中にはまることもありえます。
青や赤のカードがあるため、数字の大きい強いカードを後に使うという戦法が必ずしも通用しません。
各カードは強弱があるものの、ゲーム全体を考えてプレイしなければならないため、目先の勝利だけに固執するとゲームを支配することは出来ません。
青のカード
相手が青のカードを出したときどうするか。
もったいないけど手持ちの青のカードを使って相殺するか、敢えて数字の小さい緑のカードを使って次の反撃に備えるか。選択肢がある分、お互いの心理戦になります。
(このカードを出したら相手の術中にはまるのか、はたまたこれは相手のはったりなのか。。。)など
赤のカード
強力な効果のある赤のカードですが効果を最大限に生かすためにも使いどころは慎重にしたいところです。しかし出し惜しみをすると思ったほどの効果が得られないことがあります。
緑の小さい数字のカード
数字の小さい弱いカードは相手の赤のカードの効果を最小限に抑えるため、お互いの手札の数、ライフポイントの数を見ながらうまく使いこなせば相手に与える精神的ダメージは大きいでしょう。
ラウンドの勝敗
赤や青のカードがあるため、常に気を抜けません。どのラウンドで勝負をかけるか、相手はいつ赤や青のカードを使ってくるのか。ラウンドが進むに連れお互い残された相手の手札から、どう出てくるのか、読み合いが楽しくなってきます。
初プレイでは最初どのカードを選ぶべきか、どのカードから切るべきかわかりにくいとは思いますが、ゲーム後半になると自然とカードの選び方、切り方がわかるようになってきます。終盤の組み立て方に慣れたら、中盤、序盤とゲームを組み立てられるようになってくると思います。
これは将棋や囲碁を習い始めた直後のような感触です。
将棋なら詰め将棋、囲碁なら寄せを学んでうまくなっていくといった具合です。
ゲームの勝敗
ラウンドの勝敗でリードされていても、カードの構成はお互い同じなので負けている方も反撃のチャンスはあります。勝ってる方もこのラウンドでけりを付けるか、次のラウンドで決めるか、しっかりと考えておかなければいけません。油断すると目の前の勝利が水泡に帰してしまいます。勝ったラウンド数が4対4になった場合、最終ラウンドは盛り上がるでしょう。
カードを出し合うだけでもゲームになりますが、それだけだとあまりオリジナリティがありません。ライフポイントというもう一つのパラメーターを入れたことでさらに駆け引きの必要な奥の深いゲームになっています。パラメーターの数が多すぎず、少なすぎずというのに好感を持てます。
個々の戦いでの勝敗、各ラウンドでの勝敗、そしてゲームの勝敗。どこで勝ちにいき、どこで引くか。局地的勝利が必ずしも大局的な勝利につながらないことを常に念頭に置いてプレイしなければいけません。
このゲームでは手札を全て自分で選ぶので、カードゲームの評価でよく話題になる「引き運」という要素がありません。負けた場合は純粋に自分の戦略に落ち度があったか、相手が一枚上手だったと認めざるを得ません。ここはポジティブな意見とネガティブな意見双方が聞かれることでしょう。
しかしこのゲームのウリのひとつはその短いプレイ時間です。プレイ時間が1時間ともなると多くのゲーマーが「しんどい」となるところでしょうが、20分程度、慣れれば15分程度なので負けてももう一戦したくなります。
自分はこの手のタイプのカードゲームをそれほどプレイしていないのでカードゲーム全体としてのこのゲームの位置づけや比較評価は、熟達者の方々の判断に委ねたいと思います。個人的にはゲーマーを問わず、とりつきやすいところが気に入っています。
まとめ
時間が掛からず、簡単なルール。特殊効果はほとんどなし、カードは毎回1枚ずつ出してコンボも発生しないシンプルなゲーム。しかし小振りながらよく出来ているのではないでしょうか。デザインも奇麗で、緑のカードなど数値が同じでも一枚一枚絵柄が違うのは驚きです。
時間を気にせず、さまざまな特殊効果、派手なコンボを楽しむスタイルとは対局をなすゲームです。後者を好む人には物足りないかもしれません。かといって誰でも簡単に勝てる単純なゲームかというと首を縦に振ることはできないでしょう。
プレイしても面白いですが、上級者同士の対戦を眺めるというのも面白いでしょう。将棋や囲碁のプロ棋士同士の対局を見るような楽しみがあると思います。
その他
下のリンクから様々なバリアントと3人から6人まで遊べるルールがダウンロードできます。
http://murphy.play.free.fr/murphy.play/Telecharger.html

コンポーネントは箱ではなく袋に入っています。

裏面が赤と緑のカードがそれぞれ25枚(どちらも構成は同じ)ずつ、ライフポイントキューブが12個ずつ、そして10個の勝利トークン。
25枚のカードには緑、青、赤のカードがあります。
ルール
準備
・各プレイヤーは自分の色(赤か緑)を選び、25枚のカードと同じ色のライフポイントキューブ12個を手元に置く。
・両プレイヤーの間に勝利トークン10個を置く。
・25枚のカードから5枚を自由に選んで手札にする。
・残りのカード(20枚)を裏向きにして山札として手元に置く。
先手プレイヤーを決め、以下の流れでプレイする。
コンバット
先手(攻撃)
手札の中から1枚選んで場に出す。
後手(反撃)
手札の中から1枚選んで場に出す。
カードの強弱(後述:カードの効果参照)に応じて、負けた方は失ったライフポイント分、手持ちのキューブを中央に置く。
コンバットに勝った方が次のターンの先手になる。
引き分けの場合は前のコンバットの先手が引き続き先手をする。
ラウンドの終了と勝敗。
(A) あるプレイヤーがライフポイントを全て失った場合。相手プレイヤーの勝ち。
(B) 手札をすべて使い切った場合。残ったライフポイントの多いプレイヤーの勝ち。
ラウンドの勝者は、勝利トークンを1つ受け取る。
使ったカードは各プレイヤー固有の捨て札に置く。
(B)で引き分けの場合、そのまま次のラウンドに進む。
手持ちのカードを使いきらなくても次のラウンドには使用できない。そのまま自分の捨て札に置く。
次のラウンド。
山札から5枚新たに選んで手札にする。
自分のライフポイントキューブを全て回収して手元に置く。
前のラウンドの勝者が先手となり、上記と同様にプレイする。
山札が尽きた場合。(6ラウンド目に入った場合)
25枚の捨て札を全て回収し、5枚を自由に選んで手札にする。
残りのカード(20枚)を山札にして手元に置く。
ゲームの勝敗。
先に勝利トークンを5つ獲得したプレイヤーの勝ち。
カードの効果
緑のカード

緑のカード同士の場合、大きい数字のカードを出したプレイヤーが勝つ。
負けたプレイヤーはカードの数値の差分、ライフポイントを失う。
青のカード。

青のカードは数字にかかわらず、どの緑のカードにも勝つ。
負けたプレイヤーは青のカードの数値分、ライフポイントを失う。
青のカード同士の場合、大きい数字のカードを出したプレイヤーが勝つ。
負けたプレイヤーはカードの数値の差分、ライフポイントを失う。
赤のカード。
赤のカードは緑、青のカードに一方的に勝つ。
それぞれ特殊効果がある。
ニンフ

相手のカードにかかわらず、効果を無効にする。
ハーピー

相手の出したカードの数値分、相手はライフポイントを失う。
マンドレイク

相手の出したカードの数値分、失った自分のライフポイントを回収できる。
赤のカード同士の場合、どちらのカードの効果も無効になる。先手が引き続き次のターンの先手をする
**************************************************
所感
シンプルなルールですが、要所要所で駆け引きの必要なゲームです。
コンバットの勝敗
出されたカードに対して選べる分、後手が有利なので場合によっては敢えて負けや引き分けを選ぶといったことも考えられます。
先手は後手のそういった心理を考えて、敢えて弱いカードを出して揺さぶりをかけることも手です。
また後手に徹していても手札の数が少なくなると選択肢も狭まり、先手の術中にはまることもありえます。
青や赤のカードがあるため、数字の大きい強いカードを後に使うという戦法が必ずしも通用しません。
各カードは強弱があるものの、ゲーム全体を考えてプレイしなければならないため、目先の勝利だけに固執するとゲームを支配することは出来ません。
青のカード
相手が青のカードを出したときどうするか。
もったいないけど手持ちの青のカードを使って相殺するか、敢えて数字の小さい緑のカードを使って次の反撃に備えるか。選択肢がある分、お互いの心理戦になります。
(このカードを出したら相手の術中にはまるのか、はたまたこれは相手のはったりなのか。。。)など
赤のカード
強力な効果のある赤のカードですが効果を最大限に生かすためにも使いどころは慎重にしたいところです。しかし出し惜しみをすると思ったほどの効果が得られないことがあります。
緑の小さい数字のカード
数字の小さい弱いカードは相手の赤のカードの効果を最小限に抑えるため、お互いの手札の数、ライフポイントの数を見ながらうまく使いこなせば相手に与える精神的ダメージは大きいでしょう。
ラウンドの勝敗
赤や青のカードがあるため、常に気を抜けません。どのラウンドで勝負をかけるか、相手はいつ赤や青のカードを使ってくるのか。ラウンドが進むに連れお互い残された相手の手札から、どう出てくるのか、読み合いが楽しくなってきます。
初プレイでは最初どのカードを選ぶべきか、どのカードから切るべきかわかりにくいとは思いますが、ゲーム後半になると自然とカードの選び方、切り方がわかるようになってきます。終盤の組み立て方に慣れたら、中盤、序盤とゲームを組み立てられるようになってくると思います。
これは将棋や囲碁を習い始めた直後のような感触です。
将棋なら詰め将棋、囲碁なら寄せを学んでうまくなっていくといった具合です。
ゲームの勝敗
ラウンドの勝敗でリードされていても、カードの構成はお互い同じなので負けている方も反撃のチャンスはあります。勝ってる方もこのラウンドでけりを付けるか、次のラウンドで決めるか、しっかりと考えておかなければいけません。油断すると目の前の勝利が水泡に帰してしまいます。勝ったラウンド数が4対4になった場合、最終ラウンドは盛り上がるでしょう。
カードを出し合うだけでもゲームになりますが、それだけだとあまりオリジナリティがありません。ライフポイントというもう一つのパラメーターを入れたことでさらに駆け引きの必要な奥の深いゲームになっています。パラメーターの数が多すぎず、少なすぎずというのに好感を持てます。
個々の戦いでの勝敗、各ラウンドでの勝敗、そしてゲームの勝敗。どこで勝ちにいき、どこで引くか。局地的勝利が必ずしも大局的な勝利につながらないことを常に念頭に置いてプレイしなければいけません。
このゲームでは手札を全て自分で選ぶので、カードゲームの評価でよく話題になる「引き運」という要素がありません。負けた場合は純粋に自分の戦略に落ち度があったか、相手が一枚上手だったと認めざるを得ません。ここはポジティブな意見とネガティブな意見双方が聞かれることでしょう。
しかしこのゲームのウリのひとつはその短いプレイ時間です。プレイ時間が1時間ともなると多くのゲーマーが「しんどい」となるところでしょうが、20分程度、慣れれば15分程度なので負けてももう一戦したくなります。
自分はこの手のタイプのカードゲームをそれほどプレイしていないのでカードゲーム全体としてのこのゲームの位置づけや比較評価は、熟達者の方々の判断に委ねたいと思います。個人的にはゲーマーを問わず、とりつきやすいところが気に入っています。
まとめ
時間が掛からず、簡単なルール。特殊効果はほとんどなし、カードは毎回1枚ずつ出してコンボも発生しないシンプルなゲーム。しかし小振りながらよく出来ているのではないでしょうか。デザインも奇麗で、緑のカードなど数値が同じでも一枚一枚絵柄が違うのは驚きです。
時間を気にせず、さまざまな特殊効果、派手なコンボを楽しむスタイルとは対局をなすゲームです。後者を好む人には物足りないかもしれません。かといって誰でも簡単に勝てる単純なゲームかというと首を縦に振ることはできないでしょう。
プレイしても面白いですが、上級者同士の対戦を眺めるというのも面白いでしょう。将棋や囲碁のプロ棋士同士の対局を見るような楽しみがあると思います。
その他
下のリンクから様々なバリアントと3人から6人まで遊べるルールがダウンロードできます。
http://murphy.play.free.fr/murphy.play/Telecharger.html
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COMMENTS
カードに描かれたイラストを見ているだけでも
No title
Edu-Oneさん、コメントありがとうございます。
カードは数字毎にいろいろな妖精が描かれていてます。
このゲームは最近出たのでまだ扱っている店舗は少ないですが、フランスのボードゲームのサイト、トリックトラックでは評判がいいのでそのうち出回るのではないかと思います。
カードは数字毎にいろいろな妖精が描かれていてます。
このゲームは最近出たのでまだ扱っている店舗は少ないですが、フランスのボードゲームのサイト、トリックトラックでは評判がいいのでそのうち出回るのではないかと思います。
またドイツのモノとは違った趣が・・・
ありますね。
日本の人には絶対に出来ないセンスと言うか・・・
これからも色々と教えてください。
BLOGの更新を楽しみにしています!
日本の人には絶対に出来ないセンスと言うか・・・
これからも色々と教えてください。
BLOGの更新を楽しみにしています!
No title
ありがとうございます。
風邪をひかれたようで、心配していましたが、Edu-Oneさんもお体に気をつけてよい年末を御過ごしください。
風邪をひかれたようで、心配していましたが、Edu-Oneさんもお体に気をつけてよい年末を御過ごしください。
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すごく手が込んでいてオシャレですね!
日本での販売もあるといいなぁ~