ラーメン考
寿司と並んで代表的な日本食、ラーメン。アメリカにいた頃、寿司が市民権を得ているにもかかわらずなぜラーメンは普及していないのだろうと不思議に思いました。
スーパーには日清のカップヌードルが置いてあってもラーメン屋というのは私がいたボストン周辺ではそれほどありませんでした。
フランスに移っても状況は変わらず、寿司は多くのフランス人に人気があってもラーメンは今ひとつ。パリ市内のサンタンヌ通りにはラーメン屋が多くあり、フランス人も入っているのには渡仏当初は驚きましたが、それでもパリから離れると状況は一転します。
寿司に比べ、なぜラーメンが欧米では受けないのか、自分の経験談から考察してみました。
汁まみれのパスタ
われわれ日本人はラーメンとパスタは全く別の食べ物と考えます。しかし欧米人にはラーメンは「パスタの一種」と映るようです。となるとラーメンはスープ漬けのパスタと解釈されることになるのです。そういうことでこのタイプの「パスタ」には違和感を覚えるようです。
実際、日本食好きの知人にラーメンについてどう思うか聞いたところ、「ラーメン?寿司は好きだけど汁まみれのパスタには興味ないわ。」とはっきり言われました。
確かに日本人からみてもスープにどっぷりと浸かったスパゲッティを食べたいかと言われると彼らの気持ちもわからないではないです。
ところがこういう理由からなのか、焼きそばを作ったところ、たいてい好評。彼らは東洋式の麺が嫌いなのではないと言うことがはっきりとわかった出来事でした。
音を立てるな!
ラーメンを食べる時はズルズルと音を立てますが、欧米人にとって食事中に音を立てるのは非常にマナーが悪いのです。麺だけでなくスープを飲む時などにも音を立てると彼らには不快感を与えます。
パリのラーメン屋では音楽が掛かっていたり、周りが騒々しくてラーメンをすする音があまり気になりません。しかし 、自宅に外国人を招待した時などは当然状況が違います。
この音を立てて物を食べることに対する考え方の違いは如何ともしがたいので、ラーメンに限らず、うどん、そば等の麺類を食べる時はとくに注意しなければなりません。
余談ですが、私はラーメンを食べる時に音を出さぬよう麺を掴みながら、高速で箸を上下に動かして麺を口に送る技を習得しました。ただし失敗して麺が唇にあたると熱いことこの上ないのが欠点です。
箸を使う
寿司や中華料理が普及して箸を使いこなす欧米人は増えていますが、その彼らにしても麺を掴むというのは難儀なものです。いわいるヌードルはフォークで食べますが、ラーメン屋では箸が基本。箸でラーメンを食べるのは彼らにとって想像以上に難しいのです。箸を使いこなす日本人にこの心境はわかりづらいものですが、例えば右利きの人が左手で箸を使ってラーメンを食べてみろといわれたらどうでしょうか。
たとえおいしいと言われても食べるのに精神的苦痛を伴うのでは自然と敬遠してしまうものです。
食事に関する文化の違い
日本では食事中は静かに食べるべきで必要以上にぺちゃくちゃしゃべるのは行儀が悪いと考えられても、欧米では食事中は会話を楽しむものという考え方があります。この習慣に慣れないと自分だけ皿の上の料理を食べてしまい、相手はまだ半分も食べ終わっていないということがよく起こります。欧米人と食事をする時は黙々と食べるのはあまりいい印象を与えず、相手の話に耳を傾けながら、自分も会話に参加する必要があります。
ラーメンの麺は、あまり食べるのに時間をかけすぎるとのびてしまいます。ラーメンがテーブルに運ばれたらすぐに食べる日本人に対して、欧米人は食べては会話、食べては会話なのでこのスタイルにラーメンは合わない食べ物ではないかと思います。
終わりに
冒頭にも書いた通りパリのサンタンヌ通りにはラーメン店が多くあり、日本人に限らず、フランス人も食べにきますが、一歩パリの外を出るとラーメンの「ラ」の字も見つかりません。
ニューヨーク市に本格的なラーメン店が進出しましたが、アメリカ全体から見ればラーメンはまだまだ普及しているとはいえません。
以上にあげた以外に他にも理由があるかもしれませんが、ラーメンが欧米で市民権を得られるのはまだまだ遠い先のことになりそうです。
ところでパリでもアメリカでもベトナム料理のレストランが多くありますが、彼らはフォーと呼ばれる米粉を使った麺を提供しています。フォーに興味を持った欧米人がラーメンに食指を伸ばしてくれればまた違った展開になるのかもしれません。
参考:
カレー考
すし考
スーパーには日清のカップヌードルが置いてあってもラーメン屋というのは私がいたボストン周辺ではそれほどありませんでした。
フランスに移っても状況は変わらず、寿司は多くのフランス人に人気があってもラーメンは今ひとつ。パリ市内のサンタンヌ通りにはラーメン屋が多くあり、フランス人も入っているのには渡仏当初は驚きましたが、それでもパリから離れると状況は一転します。
寿司に比べ、なぜラーメンが欧米では受けないのか、自分の経験談から考察してみました。
汁まみれのパスタ
われわれ日本人はラーメンとパスタは全く別の食べ物と考えます。しかし欧米人にはラーメンは「パスタの一種」と映るようです。となるとラーメンはスープ漬けのパスタと解釈されることになるのです。そういうことでこのタイプの「パスタ」には違和感を覚えるようです。
実際、日本食好きの知人にラーメンについてどう思うか聞いたところ、「ラーメン?寿司は好きだけど汁まみれのパスタには興味ないわ。」とはっきり言われました。
確かに日本人からみてもスープにどっぷりと浸かったスパゲッティを食べたいかと言われると彼らの気持ちもわからないではないです。
ところがこういう理由からなのか、焼きそばを作ったところ、たいてい好評。彼らは東洋式の麺が嫌いなのではないと言うことがはっきりとわかった出来事でした。
音を立てるな!
ラーメンを食べる時はズルズルと音を立てますが、欧米人にとって食事中に音を立てるのは非常にマナーが悪いのです。麺だけでなくスープを飲む時などにも音を立てると彼らには不快感を与えます。
パリのラーメン屋では音楽が掛かっていたり、周りが騒々しくてラーメンをすする音があまり気になりません。しかし 、自宅に外国人を招待した時などは当然状況が違います。
この音を立てて物を食べることに対する考え方の違いは如何ともしがたいので、ラーメンに限らず、うどん、そば等の麺類を食べる時はとくに注意しなければなりません。
余談ですが、私はラーメンを食べる時に音を出さぬよう麺を掴みながら、高速で箸を上下に動かして麺を口に送る技を習得しました。ただし失敗して麺が唇にあたると熱いことこの上ないのが欠点です。
箸を使う
寿司や中華料理が普及して箸を使いこなす欧米人は増えていますが、その彼らにしても麺を掴むというのは難儀なものです。いわいるヌードルはフォークで食べますが、ラーメン屋では箸が基本。箸でラーメンを食べるのは彼らにとって想像以上に難しいのです。箸を使いこなす日本人にこの心境はわかりづらいものですが、例えば右利きの人が左手で箸を使ってラーメンを食べてみろといわれたらどうでしょうか。
たとえおいしいと言われても食べるのに精神的苦痛を伴うのでは自然と敬遠してしまうものです。
食事に関する文化の違い
日本では食事中は静かに食べるべきで必要以上にぺちゃくちゃしゃべるのは行儀が悪いと考えられても、欧米では食事中は会話を楽しむものという考え方があります。この習慣に慣れないと自分だけ皿の上の料理を食べてしまい、相手はまだ半分も食べ終わっていないということがよく起こります。欧米人と食事をする時は黙々と食べるのはあまりいい印象を与えず、相手の話に耳を傾けながら、自分も会話に参加する必要があります。
ラーメンの麺は、あまり食べるのに時間をかけすぎるとのびてしまいます。ラーメンがテーブルに運ばれたらすぐに食べる日本人に対して、欧米人は食べては会話、食べては会話なのでこのスタイルにラーメンは合わない食べ物ではないかと思います。
終わりに
冒頭にも書いた通りパリのサンタンヌ通りにはラーメン店が多くあり、日本人に限らず、フランス人も食べにきますが、一歩パリの外を出るとラーメンの「ラ」の字も見つかりません。
ニューヨーク市に本格的なラーメン店が進出しましたが、アメリカ全体から見ればラーメンはまだまだ普及しているとはいえません。
以上にあげた以外に他にも理由があるかもしれませんが、ラーメンが欧米で市民権を得られるのはまだまだ遠い先のことになりそうです。
ところでパリでもアメリカでもベトナム料理のレストランが多くありますが、彼らはフォーと呼ばれる米粉を使った麺を提供しています。フォーに興味を持った欧米人がラーメンに食指を伸ばしてくれればまた違った展開になるのかもしれません。
参考:
カレー考
すし考
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