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K3

登山をするゲームとしてK2などがありますが、今回はやはり登山をテーマとした(?)ライトなアブストラクト、K3を紹介したいと思います。このK3はカラコルムに存在する山です。

K3のKはカラコルムを意味し、K1はマッシャーブルム、K2は世界で2番目に高い山そしてK3はブロードピーク (8051 m 世界第12位)のことです。

BroadPeak cropped
K3:ブロードピーク (Broad Peak)

The box of K3
立方体の箱。Helvetiqというスイスに居を構える会社から出ています。代表的なゲームにBandidoなどがあります。

Cubes with a bag
コンポーネントは巾着袋と木製の駒、そして正方形の6か国語の説明書。2人から4人までプレイできます。

ルール

準備

ジョーカー駒(無着色)と白駒を分けて残りをすべて巾着袋に入れる。プレイ人数に応じたジョーカー駒と白駒を受け取る。

袋からランダムに9個の駒を取り出す。少なくとも4色ない場合はまた袋に戻してやり直す。

9個の駒を横一列に並べる。これがK3の最下段にあたりK3のベースキャンプになる。

巾着袋から順番に3個ずつ取り出し、時計回りに回す。

全員、所定数の駒を受け取ったら自分の目の前にピラミッドを作る。最初にピラミッドを完成させたプレイヤーがスタートプレイヤーになる。(二人プレイの時は6段、三人プレイの時は5段、四人プレイの時は4段のピラミッドになります。)

IMG_20220828_174708.jpg
手前の駒の山がプレイヤーのピラミッド、右奥がK3のベースキャンプになります。このベースキャンプに自分の駒を置いていきます。

ゲームの流れ

スタートプレイヤーから以下のプレイいずれかをする。

1) 色駒一つを取りK3にあるその色と同色の駒の斜め上に配置する。
2) ジョーカー駒(*)をK3にある任意の色の駒の斜め上に配置する。
3) 白駒をピラミッドから取り除く。手番終了(#)。パス扱い

自分のピラミッドの駒のうち、上に何も乗っていない駒一つを取ってK3に配置する。
色駒とジョーカー駒はいずれも2つの駒の間の上に配置する。
*ジョーカー駒は任意の色の駒の斜め上に配置できる。またジョーカー駒の斜め上には任意の色の駒が配置できる。
#白駒は仏語ルールでは「K3のそばに置く」、英語ルールでは「脇に置く」と微妙に表現が違いますが基本的にK3には配置しません。

The first move
初手で黄色の駒を黄色駒の斜め上に配置しています。説明書曰くこれでK3を登っているということだそうです。。。

ペナルティー

2つの同じ色(ジョーカー駒同士も含む)の駒の上に駒を置くとペナルティーを受ける。置いた場合、まだ脱落していない前の手番のプレイヤーはペナルティーを受けたプレイヤーの駒のピラミッドから取れる駒を一つ獲得することができる。この駒は自分の駒の山(ピラミッド)に乗せずに脇に置き、自分の手番でいつでも使える

ペナルティー
ピンクの矢印で示された2つの同色の駒の上に配置するとペナルティーを受ける。

脱落

手番でパスもできない、駒をK3に配置できない場合は脱落
駒が残っていない(すべての駒を置ききった)場合も脱落

勝利条件

自分以外全員が脱落し、最後まで駒を持っていたプレイヤーが勝利


所感

ルールを読んだ時点ではペンギンパーティーの亜種かなと思ったのですがプレイしてみるとやはりペンギンパーティーの流れを汲みつつも一味違った展開になります。

ペンギンパーティーは序盤、比較的自由にカードが配置できるのに対して、K3ではアクセス可能な駒(上にほかの駒が乗っていない駒)を使ってK3に配置します。つまり初手に使えるのは一番上にある駒のみ(4人プレイの場合は白駒でパスは可能)。つまり自分のピラミッドの最初の一つ目(一番上の駒)の配置を間違えると初手で即詰みします。
4人プレイの場合、4番手は不利なため、前の3人がどのような置き方をしても耐えられるような駒の配置を意識しなければいけません。4番手にならないためにもピラミッドを素早く作る競争が起きたりします。救済ルールか、4人プレイの時のみ、白駒はピラミッドに組み込まれず脇に置いていつでも使えます。
 ジョーカー駒は便利で白色駒は救済処置の位置づけですが、使いたいときに上に駒が乗っかっていては使用できません。
したがってジョーカー駒と白色駒をどの段のどの位置に配置するかを考えてピラミッドをセットします。

このピラミッドのセットの段階で勝負が始まっています。

ペンギンパーティーとの違い

冒頭で述べた通り、ペンギンパーティーと似ていますが、プレイしてみるとやはり違いを感じます。

その理由の一つがジョーカー駒です。ペンギンパーティーでは色をつぶされると、もうその色のカードを出せなくなりますが、このゲームはジョーカー駒があるため、その上につぶされていた色の駒が復活するのです。

復活の赤 jpg

もう一つがペナルティーのルールです。

このゲームはペンギンパーティーと違って自分の駒を置ききれば勝ちではなく最後まで駒を残していたプレイヤーの勝利になります。最初に置ききってしまうと敗北です。ペナルティーを受けると駒が減るため不利になります。裏を返せば上家が自分から駒を獲得でき、有利になります。したがってその上家の上家に協力を要請(?)することになります。そのための下準備をするような配置も考えておきます。慣れてくると有利なプレイヤーを妨害するために他のプレイヤーと連携を取りながらの配置ができるようになってきます。このあたりがつかめてくると面白くなってきます。

2つの同色駒の上に置かせるように下家を追い込むとペナルティーを課すことができますが、下家がそれを嫌って別の場所にジョーカー駒を配置するとそのプレイヤーの下家が得をすることになります。このようなプレイヤー間でジョーカー駒の使用かペナルティーの回避かの微妙な駆け引きが生まれます。

アブストラクトです

情報がすべて公開されているため、アブストラクトゲームになります。
ボードゲーマーのなかにはアブストラクトが苦手な方もいるでしょう。しかしこのゲームはジョーカー駒があるため、がちがちの詰将棋のような感じはなく緩い感じはします。自分が使ってもいいし、誰かがジョーカー駒を使えば自分が助かります。あとはどのタイミングでジョーカー駒を使えるようにピラミッドを崩していくかになります。もちろんそれすら見越してアブストラクトをガチでプレイする人も出てくるかもしれません。

プレイ時間は10~15分程度で一回プレイすれば「ああ、あの時あっちの駒を配置すべきだった」「いやそもそもピラミッドのセットアップの段階でミスっていた。」などすぐに反省点が見つかり、ライトなアブストラクトが好きな方なら再プレイする気になります。短時間で終わるので考えすぎて頭がパンクするほどのことはないと思います。

その他

このゲームは協力型ゲームもできます。ルールは基本同じですが、全員で話し合って脱落者を出さずにK3を完成させれば勝ちです。一人でも脱落したら敗北です。アブストラクトが苦手な人はこちらの協力プレイをお勧めします。

K3 協力プレイ
追記:3人で協力プレイをしてみました。写真上のようにベースキャンプ(K3の最下段)には青駒がなかったため、各自青駒を後に置けるようピラミッドの下に配置。ジョーカー駒を青駒より上になるようにセットアップしてゲームを開始しました。途中でジョーカー駒を配置して青駒を各自うまく処理してK3を完成させました(上 K3の完成もとい完登)。邪魔をすることがないためセットアップの段階でよく考えて配置しておけば会話もできるのでゲーマー同士でプレイする場合は比較的楽に完成させることができそうです。周りからは「じゃあ次は会話なしでプレイしたら」などより難易度の高いアドバイスを受けました。ゲーム初心者には協力ゲームのほうがとっつきやすい印象です。家族でプレイするなら小さい子供でも楽しめるかもしれません。

まとめ

登山をしているような雰囲気はまったくありませんが、中央のK3がどんどん大きくなっていく様は見ていて楽しいです。
ガチのアブストラクトをプレイするのもよし、みんなでワイワイ楽しむのもよし、時間も10から15分程度で終わるのでゲーム会の時間調整などにもいいのでしょう。地味さは否定できませんがたまに軽いアブストラクトをするのが好きな方ならお勧めします。ペンギンパーティーが好きな人ならさらにおすすめです。

しいて苦言を呈するなら白色駒とジョーカー駒の区別が時々しづらいことでしょうか。。。