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2019年 フランスで人気が出たゲーム まとめ

2019年も終わりが近づきました。フランスで今年高く評価されたゲームのうち、フランス発のゲーム、日本にすでに入ってきているもの、日本ではまだあまり知られていないもの、ドイツゲームなど海外のゲームを分けていくつか紹介したいと思います。

フランス発の作品

クールール ドゥ パリ (Couleurs de Paris 英題:Colors of Paris カラーズ オブ パリス)

パリの色bignone
 直訳すると「パリの色」。色そのものがゲームの要素に成るのはパスティーシュファイナルタッチなどありますが、このゲームはワーカープレイスメント要素で絵の具を手に入れ、混色し、描き上げるレベルをあげて絵画を完成させていきます。
発展系でワーカープレイスメント、そしてビジュアル的にも綺麗でフランス人に人気がある理由がわかります。アドバンスドルールではモネやセザンヌ、ヴァンゴッホなどが登場し、各自特殊能力を持っています。お気に入りの画家でプレイするとまた違った楽しみ方ができるかもしれません。
実はベーシックルールでは案外時間がかかるので初プレイでもアドバンスドルールでプレイするのがお薦めです。各プレイヤーの戦略がたてやすくなります。

ドラフトザウルス (Draftosaurus)

ドラフトザウルスbignone
 セブンワンダーズ、タケノコの作者、ボーザらが手がけた作品。
袋にある恐竜の駒をドラフトしながら得点を競います。人気を反映してかフランスでは品切れ状態が続いています。

チャクラ (Chakra)

チャクラbignone
共通の場から7色(+1色)のエナジーを集め、自分のボード上のチャクラに色が揃うように配置します。ゲームで使われている色や位置は実際のチャクラを反映しています。黒色の負のエナジーはお邪魔者と同時にうまく使いこなせば自分のプレイを助けてくれます。
綺麗な絵柄でできるアクションは限られているのに、いろいろと考えます。それゆえ4人だとちょっとダウンタイムが気になるというのであれば3人プレイがいいかもしれません。パズル好きの人にはぜひお勧めしたいです。2人でも3人でも面白いです。

ファラオ (Pharaon)

ファラオンbignone
 出生時から死ぬまでの5ラウンドを様々な活動をしながら実績を重ねてファラオ(王)になるべく奮闘します。フランス語では「ファラオンPharaon」と発音します。
販売されるや、じわりじわりと評価を上げてきた作品。クールール ドゥ パリと同じようにボード中央の円が回転するワーカープレイスメントとリソースマネッジメントですが、アクションが選べるところは5つだけ。しかしそのタイミングに先読みが必要で「このラウンドでもう少しがんばるか、次のラウンドのために早めにパスして恩恵を受けるか」など考えどころは多く、中量級から重量級の間の位置づけでしょうか。プレイするたびじわりじわりと面白さが伝わってきます。1〜5人までプレイできますが5人だとやはり長期戦になりそうです。

イシュタール バビロンの庭園 (Ishtar Les Jardins de Babylone 英:Ishtar: Gardens of Babylon)

イシュタールbignone
 タイル置きのゲームで、場や自分の駒やタイルの状況に応じて得点方法を選択していくというのが特徴。純粋な配置ゲームではなく、どの得点方法が点を稼げるかを常に考えるので時間は掛かりますが、ゲーム終了時の見た目は綺麗なので写真に撮りたくなります。

ロビーワン (Robby One)

ロビーワンbignone
 ジュソックで印の評価を得た新作。隣の人の手を(足も?)借りて自分のロボットを完成させるゲーム。自分が隣の人にお願いするだけでなく、反対側の隣人からもお願いされるという展開に振り回されること必至。隣の相手の肩に触ったり足に触ったりするので知り合い同士でのプレイがお薦めかなと。

サムサラ (Samsara)

サムサラbignone
 輪廻という概念をボードゲーム化し、デッキビルディングシステムを取り入れた意欲作。ドミニオンのように特殊能力を持つカードを入手して自分のデッキを強化していくのですが、カードの獲得のために「自分の駒を移動する」=「死に近づく」というのがこのゲーム独特の世界観です。一周して輪廻転生すると悪業を積むことになり、デッキが圧迫されていきます(ドミニオンでいう魔女の呪い)。条件を見たせばアミュレットを獲得できますが、このとき善業だけでも獲得できますが悪業をして獲得もできます。ゲーム中盤になると「あぁやはり手を汚さねばならないのか」「私は善業だけで勝ってみせましょう」「そんなのは気にしない!勝つためには悪に染まってやる!!」(笑い)、こんな会話が聞こえてきます。勝利するには5つのアミュレットが必要ですが最後のアミュレットだけは善業だけで獲得しなければならないというのがミソ。5人までプレイできますが各人最初から固有の特殊能力をもっているのでそれらをどう活かすかが戦略のポイントになっています。デッキビルディングに食傷気味の方にはいまさら感がありますが、ヒンドゥーに関連する用語や独特の世界観に興味があれば一度プレイしてみるのもありでしょう。

モンマルトル (Montmartre)

モンマルトルbignone
 買い手の興味を引くべく、貧しい画家が絵画を描きます。ときには未完成の絵を明日の糧のために安値で売ることも必要です。高く売るにはまさに運と時が重要!そんなモンマルトルに集う画家達の生活を凝縮したカードゲームです。自分の前にカードを配置して得点を得ます。システム的には特筆する点はありませんが、初心者にはゲームの意図がわかりやすく、また無名の画家達の悲哀に満ちた人生の縮図がフランス人の共感を受けるのかもしれません。カードゲームを数多プレイしている人にはとくに興味を引かないかもしれませんが、コンポーネントが綺麗で絵が好きな人ならこれだけでも買いです。

ネメトン (Nemeton)

ネメトンbignone
 ティカルのように何もない状態からタイルを配置していきます。このタイルの置き方と効果が独特でタイルをつなげながら森を造ります。そこから自分のキャラクター(ドルイド)を移動させ、森の動物達の力を借りながら得点を伸ばしていきます。覚えることが少し多めの準重量級ゲームです。
4人までできますがこれも考えどころが多く、ダウンタイムが気になるなら3人が手頃かもしれません。

ミュージアム (Museum)

ミュージアムbignoneカードbignone
 こちらもフランスで発売以来、そこそこ評価が出ている作品です。言語依存してしまうので日本語版がでるのはだいぶ先かも。

フランス産以外での作品


以下は海外発のゲームでフランスでも人気がある作品を取り上げます。

ウィングスパン (Wingspan)

うぐいすパンbignone
 おびただしい数の鳥のカードを訳して日本語版がもう発売されたのは驚愕。
各鳥一羽一羽に能力があり、作者の鳥に対する愛が伝わります。プレイする度に鳥の知識が深くなる一方、いろんな戦略が見えてくるのもこのゲームがリプレイされる理由の1つでしょう。慣れてくると鳥に感情移入してきて「カラス強くない?」と言った意見も。余談ですがゲーム名を聞いて「うぐいすパン?」と聞き返す人が時々います。

コインブラ (Coimbra)

コインブラbignone
 大航海時代のポルトガルの都市コインブラで様々な職業の人々の手を借りて勝利を目指します。日本でも既に多くの人にプレイされていますが、フランスのゲーム評価サイトVin d’jeuでも今年もっとも評価された作品です。

ブラックエンジェル (Black Angel)

ブラックエンジェルbignone
 一見するとソレニアのようなゲーム展開ですが、細かなルールが複雑でヘビーゲーマーには評価が高いようです。重ゲー好きのプレイヤー向きなのかもしれません。

レスアルカナ (Res Arcana)

レスアルカナbignone
 アメリカ発の作品ですが仏語化されあっという間に人気がでました。
これもすでに日本語版が発売されている作品です。

リトルタウン (Little Town)

リトルタウンbignoneリトルタウンビルダーズ
 もとは日本のStudio GGから出た「リトルタウンビルダーズ」が海外でも評価されて発売されています。独版、仏版、英語版はイエロ社が手がけています。


まとめ

フランスはカクテルゲームズ等が代表的なパーティーゲームを毎年、多々輩出してきましたが、近年はフランスでも重量級のゲームが高く評価されフランスお得意のパーティーゲームにあまり高い評価がつかなくなってきました。今後どのような傾向になるのか、その動向が気になります。

参考:日本ではあまり知られていないフランスの人気ゲーム 2019