サピエンス
フランスにおいて原始時代に関する話となればクロマニョン人やラスコーの壁画が挙げられるでしょう。
いずれも南仏で発見され、このことはフランス人の誇りの一つともなっています。

ラスコーの壁画は一般公開された後に発生したカビのため、閉鎖されました。代わりにその近くにラスコーの壁画を完璧に模したラスコー2が作られ一般公開されています。

余談ですがフランス人から聞いた話では、このラスコー2に描かれた壁画は描いた人の著作権があるそうです。元の絵はクロマニョン人が描いたのに。。。

ともあれフランス人のそんな自尊心をくすぐる「原始時代」を舞台としたゲーム「サピエンス」を紹介したいと思います。
フランス人から「原始のドミノ」と呼ばれるこのゲーム、いったいどんなものか興味がありました。

プレイヤーは原始時代の氏族の長となり、洞窟から谷へ進出していきます。2人〜4人までプレイできます。
目的
プレイヤーは自分のボード上にある谷を開拓し、2種類の得点を獲得していきます。ゲーム終了時にこの2種類の得点の内、低い方が最終的な得点となり、このなかでもっとも高いプレイヤーが勝利します。
準備

ボードは二つを組み合わせて作ります。裏表あり、どうつなぎ合わせてもいいので毎回違ったマップが出来ます。
このボードには四角の枠が8つ描かれています。この枠に山トークンと呼ばれるトークンを配置します。

プレイヤー(青)の山トークン。裏面に山が、表面には違うアイコンが描かれています。

白点線の枠はボード中央にある谷に面する6つの洞窟に、水色の枠は右上と左上にある滝2つにあります。

この8つの枠に自分の山トークンをランダムに配置します。

自分のプレイボード上に配置するタイル群。すべて一対のペア構成ですが、「森」のアイコンがあるタイルは3組ずつあります。

各タイルには二つのアイコンが描かれており、同じアイコン同士のタイルはありません。いわゆるドミノで言う「ダブル」はありません。(ここはインストするときに非常に重要な点です。)

各プレイヤーはこのタイルを4つ受け取りストックタイルとします。これとは別に5つのタイルを共通の場に置きます。のこりは裏向きにして山札にします。
ゲームの流れ

まず自分のストックタイルから自分のボード上にある山トークンの置かれた洞穴に一片が重なるようにタイルを配置します。このとき山トークンのアイコンとタイルのアイコンが一致するものを置かなければなりません。写真は「水」と「火」で構成されたタイルを使い、「水」の山トークンが置かれた洞窟にタイルを配置します。

タイルが配置された洞穴に置かれた山トークンを回収し手元に置きます。このとき住居ポイントが入ります。得点は洞穴左側に描かれています。写真のように山トークンがある場合に配置すると上表記の得点7点が、ない場合に配置した場合は5点(ゲームが進むと、山タイルがない場合も起こる)が住居ポイントとして入ります。

得点ボード。右下にはマンモス肉(後述)と食料ポイントの変換表。

四角と丸がそれぞれ住居と食料ポイントマーカー。
配置後、場にある5枚のタイルから一つ選び自分のストックに加え、手番終了です。
場に5枚になるように山札からタイルを補充して、次のプレイヤーの番になります。
その後はドミノのように同じアイコン同士がつながるように配置していきます。ただし置き方にはルールがあります。

複数のタイルが同時に接することもありますが、どの状況であれ、同じアイコン同士が必ずつながるように配置しなければなりません。また一度配置したタイルは動かしたり、取り除いたりすることはできません。

上の写真は一つの例。

上は不可。一部が違うアイコン同士で接しています。
もう一つ重要な点はボードの谷は草原と森で構成されており、タイルで「森」のアイコンがある部分は森にしか配置できません(草原上に配置できない)。

その後の展開。
プレイヤーは「火」のアイコンがある別のタイルをつなげなければなりません。この場合、最初の置いたタイルの下の「火」の部分に接するように(斜めは不可)、置きます。ボード上の数字で「火」の左2、右2、下1のいずれかに「火」のアイコンがあるタイルを配置します。

新たなタイルを配置したとき前に置かれたタイルと接した部分にあるボード上の数字が「食料ポイント」として入ります。この場合1の上に接するように配置したので食料ポイントが1点入ります。
そしてつながったアイコンに応じて特殊効果(所感の項で記述)が発動します。
これだけでは取り立てて目新しいことはないのですが、このゲームでは特筆すべき点がいくつかあります。
このゲームのウリの一つがこれ。
タイルを山トークンの上に重なるように配置することで住居ポイントとその山トークンが手に入ります。住居ポイントを獲得するためにここにぴったりとはめられるかが一つの目標にもなります。

必要なタイルを獲得できたら洞窟につながるように配置します。

獲得した山トークンは、手番で使用でき、そのアイコンと同じ特殊効果(一部の例外を除く)を発揮することができます。写真のように配置した場合、食料ポイント2点と住居ポイント5点が入ります。
ちなみに山トークンがない場合、どのアイコンを置いても構いません。住居ポイントは山トークンがない場合の得点(低い方)になります。
そしてウリの2つめがこれ。


この状況で「骨」と「マンモス」のアイコンがあるタイルを獲得できれば。。。。

「骨」の効果と「マンモス」の効果と食料ポイントが2点+1点=3点入ります。
この配置の仕方の妙により一手番で2個以上の効果や得点が入ると言うのが面白いところです。

楽なパターン。

対のタイルを置くだけで「マンモス」と「家」の効果と食料ポイント 3点+4点=7点入ります。
山トークンの使用
獲得した山トークンは手番で使用でき、そのアイコンと同じ効果(一部例外あり)を発動します。タイルを配置する前にでも後でも使用でき、獲得したその手番で使用してもかまいませんが、複数の山トークンを保持していても1手番で1つの山トークンしか使用できません。また1回限りしか使用できません。
ゲーム終了
積まれたタイルと場のタイルが全て無くなったらそれが最後のラウンド。スタートプレイヤーの右隣がプレイして終了となります。
各プレイヤーの住居ポイントと食料ポイントの低い方が最終得点となり、最高得点者が勝者となります。
その他、まれにタイルが配置できなかった場合等について記述がありますが、だいたい上記のルールでプレイできます。
所感
配置時の読みの楽しさとパズルの爽快感
やみくもにタイルを置いていっても得点の効率がわるいことがわかります。タイルのアイコンとよくにらめっこをして最適なタイルを配置し続けたいものです。そしてそれが功を成し、パズルが「ぴたっ」と決まった時の爽快感はなんともいえません。ブロックスしかり、コロンバしかりフランスゲームの中にはパズル好きのプレイヤーの満足感を満たすのがお得意なものが少なからずあります。
特殊効果について
タイルをつなげた時につながったアイコンの特殊効果が発動します。特殊効果は8つあります。いくつかをピックアップしてみます。
「水」

強いです。自分所有のタイルを場のタイルか他プレイヤーの所有タイルと交換します。タイルの上に置かれたバストントークン(後述)はタイルの上に載ったまま移動します。
「祝宴」

手番で自分所有のタイルをもう一枚置けます。「これ引き続ければ勝ちではないか、強すぎないか?引き運ゲー?」とプレイ当初は思ったのですが、2枚目は食料ポイント獲得や効果が発生しないため、無作為に使うと逆にもったいないということがわかりました。
「狩猟」

ストックからマンモス肉を一つ獲得でき、マンモス肉をそのままキープするか食料ポイントに変換するか選択することができます。マンモス肉を貯めた方が獲得できる点が高いのですが、変換できるのは「狩猟」タイルをつなげたときのみ。ゲーム終了時には得点に変換できません。つまりゲーム終了直前で「狩猟」タイルがないともう得点に変換できないので欲張るとまさに肉が腐ってしまいます。
「儀式」

自分のボード上にある洞穴か滝に置かれた山トークンを一つ獲得することができます。滝に置かれたトークンはこの方法でしか回収できません。このゲームをうまくプレイするコツの一つは、この獲得したトークンをしかるべきタイミングでいかにうまく使いこなすことができるかと言えるでしょう。後述のように救済処置としても機能します。
「火」

熊のトークンを引き、他プレイヤーのボード上のタイルに接するように配置できます(タイルに重ねることはできない)。

熊トークンの上にはタイルは配置できないので邪魔することができます。ここが面白いところなのですが、この時接したタイルの数だけ住居ポイントが入ります。つまり配置の仕方では他プレイヤーが困らないことがあるのです。

タイル一枚に接地させてその後の展開を邪魔すれば置かれた方は痛いです。でも置いた方も住居ポイントが1点しか入りません。それに対して。。。。

他人(ひと)に優しいくまさん攻撃!!。
置いたプレイヤーは住居ポイント4点獲得。しかし置かれたプレイヤーに被害はありませんでした。この熊トークンのイラストもボード上に違和感なく配置できます。
また熊トークンを置く代わりに自分のボード上に置かれた熊トークンを一つ取り除くことができます。
「争い」

原語はバストン(Baston)で古仏語。現在はbastonnadeとして「杖等で叩くこと、殴り合いのけんか」などとして使われます。ブルーノ フェドゥッティの作品にBastonというのがありますね。
ゲームスタート時、各プレイヤーはこぶしのアイコンが描かれたバストントークンを3つ受け取ります。この「争い」のアイコンをつなげた時、バストントークンを一つ、場にあるタイルか、他のプレイヤーのストックタイルの上に置きます。その後、そのタイルが任意のプレイヤーのボード上に配置されたら、バストントークンの所有者は配置したプレイヤーから食料ポイントを1点奪います。一つのタイルに複数のバストントークンが置かれてもかまいません。バストントークンはいつでも回収できます。
先述のようにタイルをうまく配置することにより、複数の効果と食料ポイントが入るので、だれがどのタイルをもっとも欲しがるかは他プレイヤーのボード上を見ればそのプレイヤーが知らんぷりしようがわかります。そのタイルにバストントークンを置くと「ばれたか!」「わかりますよ」「ばれないとでも?」と言った会話が自然と起こります。プエルトリコではみんなが必要でない役割カードの上にダブロンが載っていきますが、こちらは逆で、だれかが欲しそうなタイルの上にバストントークンが載っていきます。

こうなる前に欲しいタイルはボード上に配置したい。
直接攻撃
ボードゲームを愛する人の中には「直接攻撃のあるゲームはちょっと。。。」という人もいれば「直接攻撃できないゲームなんて。。。」という人もいます。このゲームではバストントークンや熊トークンで攻撃できますが、前者はその時点では攻撃を直接受けるわけではなく、後者は攻撃されても場合によってはまったく痛くないこともあり、マイルドな仕上がりとなっています(?)。
救済処置
他プレイヤーがタイルをうまく配置して洞穴につなげたときの嬉しさを尻目に「置き方を間違えたー」というプレイヤーが初プレイではよく発生します。とくに自分が欲しい山トークンが洞穴にありタイルを配置することによる獲得ができなくなったときため息混じりの叫びが谷にこだまします。

失敗の図。この場合、タイルを置くことによる山トークン(上部)の回収はできません。しかし「儀式」をすることで山トークンを回収できます。
トップ叩きすべし!!で、誰がトップ?
ゲームの中盤でトップに躍り出るとその後得点獲得を妨害されるのは世の常。しかしこのゲームでは二つある得点の最も低い方が最終得点になるので、たとえば住居ポイントでぶっちぎっても食料ポイントが最下位で負けということもあります。よほど鮮やかにプレイしない限りはダントツトップといった状況にはなりません。それは「誰がトップか」をわかりづらくし、露骨なトップ叩きが発生しないような展開になるようにデザインされています。
プレイ人数によるプレイ感覚の違い

プレイ人数により、使用する枚数とルールが若干違います。2人プレイではアブストラクトに近い感じに、3人プレイでは使われないタイルが18枚もあるため最後までわからない展開に。4人プレイでは自分のボード上をうまく管理しつつ、他プレイヤーの得点に干渉していく展開となります。したがってプレイ人数によってプレイ感覚が変わります。
あえて、それでもあえてこのゲームの欠点を挙げるとするならば最後のラウンドは完全情報公開状態となるので詰将棋のような展開になることでしょう。しかしそれを責めるのは酷なような気もします。
プレイ感
どんな戦術が生まれるか?
まだまだプレイ回数は少ないものの、毎回違った展開になります。それだけに状況に応じたいろいろな戦術が取れそうな予感がします。(例:マンモス肉戦術など)
ただしそういった戦術が功を奏して片方の得点が抜きん出ても、あくまで得点対象は低い方のなのでやはりバランスが大切なゲームです。
住居ポイントと食料ポイント、どっちが伸ばせる?
住居ポイントは得点する場合が限られていてあまり伸ばせないような気がするのですが、うまく入った場合は比較的高い点が入ります。反面、食料ポイントは毎ターン入りますが、得点は低いのでコツコツととっていく感じになります。しかしタイルをうまく配置できたときは高得点が望めます。そのため、そのタイルをいかにして入手するかが重要なポイントであり、各プレイヤーは他のプレイヤーがどのようなタイルを待ち望んでいるかを常に注視しないといけません。気を抜くと終盤で「あっ!」と気づかされて敗北を喫します。
まとめ
現時点でフランスでの評価は高いです。もちろんフランス人の歴史の琴線に触れる「クロマニョン人効果」によるひいき目の点は考慮すべきでしょう。しかしその「クロマニョン人効果」を差し引いても日本人も楽しめる面白いゲームと言えます。

基本ドミノの配置ながら、コロンバのような配置の爽快感あり、コンボあり、優しい直接攻撃あり、獲得アイテムのちょっとしたご褒美効果あり、バーストあり、プエルトリコの逆のルールあり。それでいてそれ以外の複雑な要素は入れずにうまく纏めた良質のゲームと言っていいでしょう。
参考:
ドミノ
コロンバ
いずれも南仏で発見され、このことはフランス人の誇りの一つともなっています。

ラスコーの壁画は一般公開された後に発生したカビのため、閉鎖されました。代わりにその近くにラスコーの壁画を完璧に模したラスコー2が作られ一般公開されています。

余談ですがフランス人から聞いた話では、このラスコー2に描かれた壁画は描いた人の著作権があるそうです。元の絵はクロマニョン人が描いたのに。。。

ともあれフランス人のそんな自尊心をくすぐる「原始時代」を舞台としたゲーム「サピエンス」を紹介したいと思います。
フランス人から「原始のドミノ」と呼ばれるこのゲーム、いったいどんなものか興味がありました。

プレイヤーは原始時代の氏族の長となり、洞窟から谷へ進出していきます。2人〜4人までプレイできます。
目的
プレイヤーは自分のボード上にある谷を開拓し、2種類の得点を獲得していきます。ゲーム終了時にこの2種類の得点の内、低い方が最終的な得点となり、このなかでもっとも高いプレイヤーが勝利します。
準備

ボードは二つを組み合わせて作ります。裏表あり、どうつなぎ合わせてもいいので毎回違ったマップが出来ます。
このボードには四角の枠が8つ描かれています。この枠に山トークンと呼ばれるトークンを配置します。

プレイヤー(青)の山トークン。裏面に山が、表面には違うアイコンが描かれています。

白点線の枠はボード中央にある谷に面する6つの洞窟に、水色の枠は右上と左上にある滝2つにあります。

この8つの枠に自分の山トークンをランダムに配置します。

自分のプレイボード上に配置するタイル群。すべて一対のペア構成ですが、「森」のアイコンがあるタイルは3組ずつあります。

各タイルには二つのアイコンが描かれており、同じアイコン同士のタイルはありません。いわゆるドミノで言う「ダブル」はありません。(ここはインストするときに非常に重要な点です。)

各プレイヤーはこのタイルを4つ受け取りストックタイルとします。これとは別に5つのタイルを共通の場に置きます。のこりは裏向きにして山札にします。
ゲームの流れ

まず自分のストックタイルから自分のボード上にある山トークンの置かれた洞穴に一片が重なるようにタイルを配置します。このとき山トークンのアイコンとタイルのアイコンが一致するものを置かなければなりません。写真は「水」と「火」で構成されたタイルを使い、「水」の山トークンが置かれた洞窟にタイルを配置します。

タイルが配置された洞穴に置かれた山トークンを回収し手元に置きます。このとき住居ポイントが入ります。得点は洞穴左側に描かれています。写真のように山トークンがある場合に配置すると上表記の得点7点が、ない場合に配置した場合は5点(ゲームが進むと、山タイルがない場合も起こる)が住居ポイントとして入ります。

得点ボード。右下にはマンモス肉(後述)と食料ポイントの変換表。

四角と丸がそれぞれ住居と食料ポイントマーカー。
配置後、場にある5枚のタイルから一つ選び自分のストックに加え、手番終了です。
場に5枚になるように山札からタイルを補充して、次のプレイヤーの番になります。
その後はドミノのように同じアイコン同士がつながるように配置していきます。ただし置き方にはルールがあります。

複数のタイルが同時に接することもありますが、どの状況であれ、同じアイコン同士が必ずつながるように配置しなければなりません。また一度配置したタイルは動かしたり、取り除いたりすることはできません。

上の写真は一つの例。

上は不可。一部が違うアイコン同士で接しています。
もう一つ重要な点はボードの谷は草原と森で構成されており、タイルで「森」のアイコンがある部分は森にしか配置できません(草原上に配置できない)。

その後の展開。
プレイヤーは「火」のアイコンがある別のタイルをつなげなければなりません。この場合、最初の置いたタイルの下の「火」の部分に接するように(斜めは不可)、置きます。ボード上の数字で「火」の左2、右2、下1のいずれかに「火」のアイコンがあるタイルを配置します。

新たなタイルを配置したとき前に置かれたタイルと接した部分にあるボード上の数字が「食料ポイント」として入ります。この場合1の上に接するように配置したので食料ポイントが1点入ります。
そしてつながったアイコンに応じて特殊効果(所感の項で記述)が発動します。
これだけでは取り立てて目新しいことはないのですが、このゲームでは特筆すべき点がいくつかあります。
このゲームのウリの一つがこれ。
タイルを山トークンの上に重なるように配置することで住居ポイントとその山トークンが手に入ります。住居ポイントを獲得するためにここにぴったりとはめられるかが一つの目標にもなります。

必要なタイルを獲得できたら洞窟につながるように配置します。

獲得した山トークンは、手番で使用でき、そのアイコンと同じ特殊効果(一部の例外を除く)を発揮することができます。写真のように配置した場合、食料ポイント2点と住居ポイント5点が入ります。
ちなみに山トークンがない場合、どのアイコンを置いても構いません。住居ポイントは山トークンがない場合の得点(低い方)になります。
そしてウリの2つめがこれ。


この状況で「骨」と「マンモス」のアイコンがあるタイルを獲得できれば。。。。

「骨」の効果と「マンモス」の効果と食料ポイントが2点+1点=3点入ります。
この配置の仕方の妙により一手番で2個以上の効果や得点が入ると言うのが面白いところです。

楽なパターン。

対のタイルを置くだけで「マンモス」と「家」の効果と食料ポイント 3点+4点=7点入ります。
山トークンの使用
獲得した山トークンは手番で使用でき、そのアイコンと同じ効果(一部例外あり)を発動します。タイルを配置する前にでも後でも使用でき、獲得したその手番で使用してもかまいませんが、複数の山トークンを保持していても1手番で1つの山トークンしか使用できません。また1回限りしか使用できません。
ゲーム終了
積まれたタイルと場のタイルが全て無くなったらそれが最後のラウンド。スタートプレイヤーの右隣がプレイして終了となります。
各プレイヤーの住居ポイントと食料ポイントの低い方が最終得点となり、最高得点者が勝者となります。
その他、まれにタイルが配置できなかった場合等について記述がありますが、だいたい上記のルールでプレイできます。
所感
配置時の読みの楽しさとパズルの爽快感
やみくもにタイルを置いていっても得点の効率がわるいことがわかります。タイルのアイコンとよくにらめっこをして最適なタイルを配置し続けたいものです。そしてそれが功を成し、パズルが「ぴたっ」と決まった時の爽快感はなんともいえません。ブロックスしかり、コロンバしかりフランスゲームの中にはパズル好きのプレイヤーの満足感を満たすのがお得意なものが少なからずあります。
特殊効果について
タイルをつなげた時につながったアイコンの特殊効果が発動します。特殊効果は8つあります。いくつかをピックアップしてみます。
「水」

強いです。自分所有のタイルを場のタイルか他プレイヤーの所有タイルと交換します。タイルの上に置かれたバストントークン(後述)はタイルの上に載ったまま移動します。
「祝宴」

手番で自分所有のタイルをもう一枚置けます。「これ引き続ければ勝ちではないか、強すぎないか?引き運ゲー?」とプレイ当初は思ったのですが、2枚目は食料ポイント獲得や効果が発生しないため、無作為に使うと逆にもったいないということがわかりました。
「狩猟」

ストックからマンモス肉を一つ獲得でき、マンモス肉をそのままキープするか食料ポイントに変換するか選択することができます。マンモス肉を貯めた方が獲得できる点が高いのですが、変換できるのは「狩猟」タイルをつなげたときのみ。ゲーム終了時には得点に変換できません。つまりゲーム終了直前で「狩猟」タイルがないともう得点に変換できないので欲張るとまさに肉が腐ってしまいます。
「儀式」

自分のボード上にある洞穴か滝に置かれた山トークンを一つ獲得することができます。滝に置かれたトークンはこの方法でしか回収できません。このゲームをうまくプレイするコツの一つは、この獲得したトークンをしかるべきタイミングでいかにうまく使いこなすことができるかと言えるでしょう。後述のように救済処置としても機能します。
「火」

熊のトークンを引き、他プレイヤーのボード上のタイルに接するように配置できます(タイルに重ねることはできない)。

熊トークンの上にはタイルは配置できないので邪魔することができます。ここが面白いところなのですが、この時接したタイルの数だけ住居ポイントが入ります。つまり配置の仕方では他プレイヤーが困らないことがあるのです。

タイル一枚に接地させてその後の展開を邪魔すれば置かれた方は痛いです。でも置いた方も住居ポイントが1点しか入りません。それに対して。。。。

他人(ひと)に優しいくまさん攻撃!!。
置いたプレイヤーは住居ポイント4点獲得。しかし置かれたプレイヤーに被害はありませんでした。この熊トークンのイラストもボード上に違和感なく配置できます。
また熊トークンを置く代わりに自分のボード上に置かれた熊トークンを一つ取り除くことができます。
「争い」

原語はバストン(Baston)で古仏語。現在はbastonnadeとして「杖等で叩くこと、殴り合いのけんか」などとして使われます。ブルーノ フェドゥッティの作品にBastonというのがありますね。
ゲームスタート時、各プレイヤーはこぶしのアイコンが描かれたバストントークンを3つ受け取ります。この「争い」のアイコンをつなげた時、バストントークンを一つ、場にあるタイルか、他のプレイヤーのストックタイルの上に置きます。その後、そのタイルが任意のプレイヤーのボード上に配置されたら、バストントークンの所有者は配置したプレイヤーから食料ポイントを1点奪います。一つのタイルに複数のバストントークンが置かれてもかまいません。バストントークンはいつでも回収できます。
先述のようにタイルをうまく配置することにより、複数の効果と食料ポイントが入るので、だれがどのタイルをもっとも欲しがるかは他プレイヤーのボード上を見ればそのプレイヤーが知らんぷりしようがわかります。そのタイルにバストントークンを置くと「ばれたか!」「わかりますよ」「ばれないとでも?」と言った会話が自然と起こります。プエルトリコではみんなが必要でない役割カードの上にダブロンが載っていきますが、こちらは逆で、だれかが欲しそうなタイルの上にバストントークンが載っていきます。

こうなる前に欲しいタイルはボード上に配置したい。
直接攻撃
ボードゲームを愛する人の中には「直接攻撃のあるゲームはちょっと。。。」という人もいれば「直接攻撃できないゲームなんて。。。」という人もいます。このゲームではバストントークンや熊トークンで攻撃できますが、前者はその時点では攻撃を直接受けるわけではなく、後者は攻撃されても場合によってはまったく痛くないこともあり、マイルドな仕上がりとなっています(?)。
救済処置
他プレイヤーがタイルをうまく配置して洞穴につなげたときの嬉しさを尻目に「置き方を間違えたー」というプレイヤーが初プレイではよく発生します。とくに自分が欲しい山トークンが洞穴にありタイルを配置することによる獲得ができなくなったときため息混じりの叫びが谷にこだまします。

失敗の図。この場合、タイルを置くことによる山トークン(上部)の回収はできません。しかし「儀式」をすることで山トークンを回収できます。
トップ叩きすべし!!で、誰がトップ?
ゲームの中盤でトップに躍り出るとその後得点獲得を妨害されるのは世の常。しかしこのゲームでは二つある得点の最も低い方が最終得点になるので、たとえば住居ポイントでぶっちぎっても食料ポイントが最下位で負けということもあります。よほど鮮やかにプレイしない限りはダントツトップといった状況にはなりません。それは「誰がトップか」をわかりづらくし、露骨なトップ叩きが発生しないような展開になるようにデザインされています。
プレイ人数によるプレイ感覚の違い

プレイ人数により、使用する枚数とルールが若干違います。2人プレイではアブストラクトに近い感じに、3人プレイでは使われないタイルが18枚もあるため最後までわからない展開に。4人プレイでは自分のボード上をうまく管理しつつ、他プレイヤーの得点に干渉していく展開となります。したがってプレイ人数によってプレイ感覚が変わります。
あえて、それでもあえてこのゲームの欠点を挙げるとするならば最後のラウンドは完全情報公開状態となるので詰将棋のような展開になることでしょう。しかしそれを責めるのは酷なような気もします。
プレイ感
どんな戦術が生まれるか?
まだまだプレイ回数は少ないものの、毎回違った展開になります。それだけに状況に応じたいろいろな戦術が取れそうな予感がします。(例:マンモス肉戦術など)
ただしそういった戦術が功を奏して片方の得点が抜きん出ても、あくまで得点対象は低い方のなのでやはりバランスが大切なゲームです。
住居ポイントと食料ポイント、どっちが伸ばせる?
住居ポイントは得点する場合が限られていてあまり伸ばせないような気がするのですが、うまく入った場合は比較的高い点が入ります。反面、食料ポイントは毎ターン入りますが、得点は低いのでコツコツととっていく感じになります。しかしタイルをうまく配置できたときは高得点が望めます。そのため、そのタイルをいかにして入手するかが重要なポイントであり、各プレイヤーは他のプレイヤーがどのようなタイルを待ち望んでいるかを常に注視しないといけません。気を抜くと終盤で「あっ!」と気づかされて敗北を喫します。
まとめ
現時点でフランスでの評価は高いです。もちろんフランス人の歴史の琴線に触れる「クロマニョン人効果」によるひいき目の点は考慮すべきでしょう。しかしその「クロマニョン人効果」を差し引いても日本人も楽しめる面白いゲームと言えます。

基本ドミノの配置ながら、コロンバのような配置の爽快感あり、コンボあり、優しい直接攻撃あり、獲得アイテムのちょっとしたご褒美効果あり、バーストあり、プエルトリコの逆のルールあり。それでいてそれ以外の複雑な要素は入れずにうまく纏めた良質のゲームと言っていいでしょう。
参考:
ドミノ
コロンバ
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