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1メートル:長さの原点

フランス国民議会は1791年、従来の長さの単位、「トワーズ」や「ピエ」から新しい長さの単位を規定することを決定しました。その長さは北極点から赤道を結ぶ子午線の長さの1000万分の1。

それが今日の「メートル」です。

このメートルの長さを基準にするために作られたものが「メートル原器」。フランス語で mètre étalon メートルエタロンといいます。

1796年2月から1797年12月の間に、このメートルを一般の人々にも精通させるため、パリの人通りの多い場所16カ所にメートル原器が設置されました。

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その一つがこの写真の「メートル原器」です。大理石でできています。

壁にある説明によれば現存するのは2つで、元来の場所にいまだにあるのはこのメートル原器だけ。

このメートル原器はリュクサンブール宮の北、ヴォジラール通りにある建物のアーケードの中にひっそりとあり、通りからはちょっと気づくにくい所にあります。

今日、メートルは光の速度によって定義されています。このメートル原器は本来の役目を終えましたが、いまなお過ぎ去った歴史をしずかに物語っています。

36 RUE DE VAUGIRARD
アーケードの下の左側の壁
最寄り駅リュクサンブール(Luxembourg)

参考:
もう一つのメートル原器

コーンポタージュって何語?

渡米した当初、日本にいたときに普段それほど気にしない食べ物が無性に恋しくなることがありました。そのなかにコーンポタージュがありました。

このコーンポタージュが欲しくてスーパーマーケットへ行ってみると、見つからず店員に
「すいません、コーンポタージュを探しているですが」と訊くと

店員は「ポタージュって何だい?」

コーンポタージュはほかにもコーンスープ、コーンポタージュスープという言い方もするようですが、「コーンスープ」と探しても見つかりません。

私が住んでいたニューイングランドではアサリを使ったスープ、クラムチャウダーが有名でした。クリーミィーなスープは癖になりますが結構高カロリーなのでみそ汁のように毎日飲むというわけにはいきません。初めて行くレストランではよくクラムチャウダーを注文しました。レストランごとに違う味を出しているからです。これはこれでおいしいのですが自分はどうしてもコーンスープが欲しくなりました。

いろんなスーパーマーケットを探しまわっても見つからず、あちこち探しまわってついにそれを見つけたのは皮肉にも日本の食材店でした。「コーンポタージュ」と日本語で。。。

ともあれアメリカではスープはスープ(soup)であってポタージュという呼び方を聞くことはありませんでした。

「ポタージュ」がフランス語でスープを意味するのは知ったのはそれからだいぶ経ってからのことですが、するとポタージュスープは「スープスープ」となっておかしな意味になります。
ポタージュという言葉が日本に導入された当時、わかりやすくスープという単語を付加したのでしょうか。

例えば英語の日本の旅行ガイドプックをみると「東大寺」のことをTODAI-JI TEMPLEという呼び方をしています。日本人からすると「寺」が二回入って違和感を感じますが、英語で説明するにはこの呼び方のほうが適しているからでしょう。

さてではコーンポタージュとはなんでしょうか。コーン(corn)は英語でトウモロコシですがフランス語ではmaïs(マイス)です。するとコーンポタージュは英語+仏語で構成された単語です。混乱してきます。

ともあれ、ポタージュというからにはフランス料理かと思って、フランス人にコーンポタージュについて訊いてみると、
「なにそれ、フランス人はそんなの食べん(飲まん)よ」(注)
とあっさり。
訝しげなフランス人たちに、ネットでレシピを検索して実際にコーンポタージュを作ったらこれはこれで評判は良かったのですが。。

コーンスープ、コーンポタージュ、コーンポタージュスープ、結局どれが正しい?読み方なのか。一時期、悩みましたが最近はそれほど気にしなくなりました。

注:日本語ではスープを「飲む」ですが、英語でも仏語でもスープは「食べる」英:eat 仏: mangerを使います。

麻雀 :日本、アメリカ、フランス

私がボードゲームにはまったきっかけのきっかけは麻雀でした。アメリカにいた時、アメリカ人にドミノを紹介してもらい、今度は自分がアメリカ人やアメリカに来た外国人に日本の麻雀を紹介しようと思いました。中華街で麻雀牌を購入し、ルールを英訳して印刷して準備万端のつもりで彼らを自宅に招待しました。しかし結果は散々でした。。。

結論から先に言うと「難しすぎる!!」と。。。

彼らにとっては麻雀牌自体初めてみるもの。すべてが珍しく、まず、準備の段階でも「なぜこれはこうするのか」など質問が矢継ぎ早に飛んできて「それはあとで説明するから」といっても納得しません。

なんといってもやはりルールの煩雑さが問題でした。ポンやらチーの仕方といったことは理解できても意外とその他の細かなルールを説明しなければならず、そのたびに混乱を招いてしまいました。

さらに得点計算方法。これもきちんと英訳して分かりやすく順を追って説明したのですが、初めて麻雀を目にする人には難しすぎたようです。もっとも麻雀をする日本人のなかでも得点計算は人任せの人もいますから初めての外国人にはもっと難しかったのも無理はありません。

それと招待した友人が普段それほどゲームをする人たちではなかったのも今思えば反省点です。

2局ほどやってみんなギブアップしてしまいました。

麻雀は一回やっただけで面白さが分かる類のゲームではありません。何度も遊んでその面白さ、奥の深さが分かってくるものです。私たち日本人はなぜ麻雀をするのか。いろいろ理由はあると思いますがそのなかに「周りがやっているから」「前に見たことがあって興味があるから」等の理由で麻雀を始めて、その魅力に取り付かれて続ける人たちが多いのではないでしょうか。

日系移民の多い西海岸なら状況は違うのかもしれませんが、私のいた東海岸に限って言えば麻雀は一般のアメリカ人にはあまり知られていません。アメリカ人に「麻雀って知ってる?」と聞くとたいてい、「なにそれ?」です。まれに「ああ知ってるよ、ペア(2枚一組)でタイルを山から除いていくやつだろ」という答えが返ってきます。(それはマージャンソリティア)

麻雀は漢字があるからアメリカ人には無理なのか?というとそうでもありません。

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写真はボストンの中華街で買った麻雀牌。牌の左上に数字や英字が書いてあり、漢字が読めなくてもプレイできます(画像をクリックすると大きくなります)。日本の麻雀と違い得点計算に点棒を使いません。

実はアメリカでも麻雀はプレイされていますが、日本のルールとはだいぶ違うようです。代表的な団体としてはナショナル麻雀リーグ(National Mah Jongg League)で、このウェブサイトによると会員は27万5千人で、毎年公式ルールと役が配布されています。27万人といえばかなりの数と思われますが人口3億のアメリカからすると全体の1%にも満ちません。

またアメリカに居る中国人の間でも麻雀がプレイされますが、出身地によってルールが違うといいます。

ではアメリカ人が普段するゲームとはどんなものか。それは一概には言えませんが、私の周りではトランプ、とりわけテキサスホールデムが流行っていました。

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写真はパリの中華レストランでの麻雀風景。配牌が16枚であることから台湾麻雀と思われます(手前の人は副露しているため、手持ちに13枚)。捨て牌は中央部にごっちゃに置かれ誰が何を捨てたかはわからなくなっています。

世界中でプレイされている麻雀。とはいえ、ルールは日本の麻雀とはまったく違うので完全に別のゲームということです。
日本人同士で集まるならいざしらず、外国で麻雀をするならそのルールや役に関して言えば「郷に入りては郷に従え」ということになります。日本人なら日本ルールの麻雀をしたいのがやまやまですが、そこを妥協できるかは本人次第です。

日本ルールの麻雀をプレイしてもらおうとして挫折した経験が、私がボードゲームに傾倒していった一因になっています。

参考までにこちらでは世界の麻雀のルール(左のRule Collectionをクリック)が詳細に紹介されています。
FOUR WINDS MAH JONG
(英語)
注:点数計算でLimitとあるのは満貫(8千点)のことです。例えば400% of Limitとは満貫の4倍で3万2千点(役満の点数)です。

パリのメンヒル

ブルターニュ地方にはメンヒル(menhir)と呼ばれる巨石記念物が点在しています。とくにカルナックのそれが有名です。
直立型のものをメンヒル、テーブル状のものはドルメン(dolmen)といいます。
いつ、だれが、どんな目的で造ったのかはいまだにはっきりとしていません。
フランス語ではメニールと発音します。

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パリにこのブルターニュのメンヒルがあります。高さは2メートル半弱ほど。

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碑になにか刻まれているのですが削れて判読できません。

手元にある資料によれば碑にはこう刻まれているとあります。

「モビリアン商工会議所の提唱によりパリ市に贈られ、ブルターニュの7人の花崗岩加工職人によって制作されたこのメンヒルは、1988年12月18日*に元老院議長アラン・ポエールによって落成された。」 

*判読できないため198年12月1日の可能性もある

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とりわけ何か柵で保護されてあるわけでもなくここは住宅の前にある公園の中にあります。

歳月が経つにつれ消えていく碑の文字はいずれ判読できなくなり、遠い将来、このメンヒルはいつ誰が何の目的で建てたかもわからくなり、謎に包まれていくのかも。。。

パリのメンヒル Un Menhir Breton À Paris
14区 Sq. du père plumier内  128 Rue Vercingétorix付近

パリのボードゲーム店 Docteur Stratageme

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この店は9区rue de Maubeugeに面しています。

おもにポーカー関連の製品や本を扱っています。ほかにはルーレット、それほど多くはありませんが、ボードゲーム、カードゲームを売っています。

店の奥にはポーカーテーブルがあり、ポーカーのレッスンが受けられます。

パリから10数キロほど北西にあるサンジェルマン(St German)にも店があり、ボードゲームに関して言えばこちらの店の方が多いようです。
(www.docteurstratageme.com/magasin_stg.php)

42 rue de Maubeuge
75009 Paris
Tel: 01 42 80 91 14
ホームページ: http://www.docteurstratageme.com/magasin-paris-9eme (仏語)
メトロ7番線カデCadetから徒歩5分。

参考:パリのボードゲーム店リスト

緑の通りとハートの扉

メトロ13番線ペルネティ駅を出てRaymond Losserand通りを南西に向かって歩くとRue des Thermopylesという通りが左側に見えます。

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小さなこの路地に入ると先ほどの往来が嘘のように静まり返った空間に出会います。通りの建物はつたなどはじめとした様々な植物が家々を緑に彩ります。

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反対側から見た道。

この通りの南にあるCité Bauer通りを歩くとやはりどことなく別空間に入ったような感じがします。

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とりわけ、このハートの形をした扉が通りを歩く人々の足を止めます。

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この扉はハンガリー出身のAlexandre Mezeiの作品。ここは実際に彼が住んでいた家です。

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ヨーロッパスタイルの中にどことなくオリエンタルな印象も感じる作風です。

Rue des ThermopylesとCité Bauer
メトロ13番線ペルネティ駅からそれぞれ徒歩1分、3分。