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ラ・ベート ジェヴォーダンの獣 所感とまとめ

前々回の記事では「ラ・ベート」の背景と概要、前回の記事ではルールについて取り上げましたが、ここでは「ラ・ベート」のプレイ後の所感とまとめについて記述します。

所感

スコットランドヤードと比較するとこのゲームは調査員、獣どちらをプレイしてもプレイ感覚が大きく違います。
怪盗がいる場所に警察が着けば勝利するスコットランドヤードとの大きな違い、それは調査員側が「獣」の動きを読んで「獣」がいる場所に行くことは重要ではあるが、それが絶対的な勝利条件ではないという点です。

またスコットランドヤードの警察側は

どこにいるかわからない怪盗がどこに行くのか」

を予想するため、逃げる怪盗の過去の行動を理詰めで調べていく必要があります。


これに対してこのゲームの調査員側は

「すでにどこにいるかわかっている「獣」がどこに移動するのか」

に注視し、現時点で「獣」が移動できうる村の絞り込みを行うことができます。

このため、調査員側は初プレイでも、初心者でもとっつきやすいです。

またそれぞれ調査員には役割が分かれているため、自分の駒と「獣」の駒の位置取りを考えながらプレイします。自分のキャラクターの足跡調査能力を踏まえ、獣がどんな動きをしてきたか(極端に自分の駒から離れる動きをしていないか等)を観察して獣の正体を予想しながら周りの調査員側と連携して獣の動きを封じ込めるプレイが必要です。


獣は不利?

これに対して獣側は心理的にはきついです。

スコットランドヤードと違って、まず移動先を選ぶ以前に今いる場所が調査員側にわかっているというのが最大の試練といえます。

村に置かれた血滴駒
また12ターン以内に血滴駒を25個置ききれば勝ちなので初めてのプレイでは「毎ターン平均2個置ければ勝てるだろう」と考えてしまいますが、後半になると竜騎兵がマップ上に増えてくるのでこの考えは甘いことに気づきます。

基本的に獣のほうが機動力があるので逃げ回ることは可能です。しかしそういったプレイを続けると勝利条件を達成するのが難しくなります。
このため獣側は敵(調査員側)の懐に飛び込むようなプレイをして調査員側の予想を外すような動きが要求されます。

遠くに逃げると見せかけて近接の村へ移動したり、ときおり「いやまさか露骨にそこ(の村)にはいかないだろう」と思わせて裏をかくような動きをしないと戦略的にだんだんと追い詰められていきます。

とくに上記したように「獣」側が動ける範囲がつねに調査員側にわかっているため、調査員の移動フェーズ時、調査員側はいろいろ相談できるのであらゆる可能性を議論します。「獣」プレイヤーはこの会話が聞こえてくるので心理的にズキズキときます。
「獣」が実際に動いた村が議論中の会話に出てくるとドキドキするし、逆に調査員側の駒の配置がずれた時の安ど感はかなり大きいです。これが毎ターン続くわけです。

スコットランドヤードと違い、獣の動きを読まれて調査員の駒と同じ場所の村に来た場合、真の正体の足跡トークンを回収されない限り、即ゲーム終了とはなりませんが1ターンをロスするのが非常に痛いのと真の正体以外の足跡トークンでも回収されると今後のプレイが厳しくなるので移動する村を読まれるのはなるべく避けたいです。

このような苦境の中で獣はだいたい11ターン目か12ターン目で勝つ場合が多く圧勝するということはありません。

とくに3年目は竜騎兵がマップに散らばり、調査員側も「獣」の正体にうすうす気づいて追い詰める動きをしてきます。
そのため獣は完全勝利(足跡トークンを一つも失わないで勝つ)は難しいと思います。
真の正体以外の足跡トークンを失う覚悟でどこかでラストスパートをかけないと勝てません。このタイミングを逸してしまうと12ターン終了し、獣の勝利は消滅するでしょう。

どちらかというと初プレイでは経験者が「獣」プレイヤーをプレイすることをお勧めします。

「獣」プレイヤーが初プレイの場合、以下の点に留意するのが大事かと思います。

1. 積極的に足跡トークンを表向きにして効果を発動する。
2. 春、夏の行動に気を付ける。
3. マップの位置取りを意識する。



1. 積極的に足跡トークンを表向きにして効果を発動する。

足跡トークンを表にすることはそれを調査員側に奪われるリスクが高くなるのですが、能力を発動しないとどうしても血滴駒を置ける数が厳しくなり、後半になるほどじり貧になってきます。

2. 春、夏の行動に気を付ける。

「獣」は常に全ての調査員の駒の位置を把握して足跡トークンを選ぶ必要があるのですが、シーズンカードによってこの計算が狂うことがあります。とくに春と夏は調査員側に有利に働くイベントが多いため極端に冒険をするとあっさりと正体を暴かれることもあります。

3. マップの位置取りを意識する。

特徴的なマップなので村の位置をよく把握してどういった動きが効率がいいか地図とにらめっこしてまず考える必要があります。
追い込まれる図
できれば調査員を散らしたいためにマップ中央部での位置取りを意識しながらプレイしたいのですがスコットランドヤードと比べるとマップは小さいのですぐに端に追いやられることがあります。この場合は「オオカミの群れ」の足跡トークンを表にして、長距離移動で包囲網突破かあるいは捨て身で(血滴駒を多く置くため)近場の村に移動するかなど、調査員側が考える選択肢をなるべく増やして対抗したいところです。

以上のように「獣」は孤独な闘いで終始いろんなこと(あるときは理詰めで、あるときははったりをかまし、あるときはギャンブル)を考える必要があり、かなり疲れます。
とはいっても「獣」が勝つことはあるので、きつくても「獣」をプレイするプレイヤーはチャレンジングな気持ちで挑むといいでしょう。

それでも調査員側がバリバリのゲーマーだと「獣」側はきついです(経験談)。。。
5人プレイ(獣 1人、調査員 バリバリゲーマー4人)では1ブレイン vs 4ゲーマーズブレイン となるのでこちらの動きをことごとく読まれます。。。

このゲーム、二人でもプレイできます。一人が「獣」、もう一人が調査員4人分を担当します。この場合は調査員側のプレイヤーのミスや考え漏れが発生することもあるため「獣」側の勝率は上がると予想されます。

調査員側がゲーマー4人で「獣」側は勝つのが厳しいと感じたなら、調査員側は「ゲーム中、相談なし」というのも一考です。
もしかするとスコットランドヤードの怪盗Xを何度もこなしてきた連戦錬磨のプレイヤーならこの苦境を軽々と乗り越えられるかもしれません。

まとめ

プレイ風景その3
スコットランドヤードが好きな人ならばおすすめですが、プレイ感覚はだいぶ違います。
このゲームは「獣」側と調査員側どちらかをプレイするかで評価は変わるかもしれません。調査員側は終始会話しながら獣の動きを予想したり、獣の正体を推理しプレイできるので楽しいです。これに対して「獣」側をプレイするプレイヤーは毎ターンの心理戦を勝ち抜く胆力が必要とされます。それだけに負けた場合はメンタルな疲れがどっとでるかもしれませんが勝った場合は苦労した後の充実感はひとしおです。

ラ・ベート ジェヴォーダンの獣 背景と概要
ラ・ベート ジェヴォーダンの獣 ルール

ラ・ベート ジェヴォーダンの獣 ルール

前回の記事ではゲームの背景などについて紹介しましたが、今回はゲームのルールについて記したいと思います。

ゲームの要約

「獣」はジェヴォーダン地方の村々に移動して犠牲者の数を増やしていきます。一定数襲撃できれば「獣」の勝利になります。
ただし、終始自分の「真の正体」を暴かれないように行動しなければいけません。

これに対して調査員側は獣の動きを予測して移動し襲撃を防いでいきます。
村に移動した際、「獣」は襲撃の成功失敗いかんにかかわらずその村に「足跡」を証拠として残してしまいます。この足跡は次のシーズン後まで消えません。この「獣」が残した足跡を調査することによって「獣」の正体を暴くことに成功すれば調査員側の勝利となります。

準備

初期配置 シーズンカード
シーズンカードをそれぞれ3枚ランダムに取り裏向きに所定位置に配置する。
シーズンカードの配置位置はボードの左端上から
(Été エテ)、
(Automne オトンヌ)、
(Hiver イヴェール)、
(Printemps プランタン)。

指定された位置に竜騎兵駒(黒)と武装された農民駒(白)を配置。

獣をプレイするプレイヤーは獣のプレイボードと獣駒、足跡トークン、獣の正体カード、村カードを取る。

獣ボード
獣のプレイボードと足跡トークン

村カード
村カード 30枚

各調査員は調査員のプレイボードと対応する調査員駒を取る。


調査員ボード
調査員側のプレイボード

最初の状況

1764年 春 最初の襲撃

獣の正体カード
獣プレイヤーは獣の正体カードから1枚秘密裏に選び、裏向きにプレイボードの所定の場所(右下)に置く

獣が最初に出現する村(マップ上の5つの村(血がついている)のうち一つ)を選び、対応する村カードを秘密裏に選び裏向きにして獣側の春の場所に配置する。

初期配置 獣側
画面右下に配置されたのが正体カード。「獣」の真の正体を現します。上には最初に「獣」が出現する村のカード。

調査員駒の配置
調査員側は各駒をボード上の村か集落のいずれかに配置する。名前と数字が表記されたマスが村、それ以外のマスは集落。
同じマスに複数の調査員駒があってもかまわない。

調査員側の駒がすべて配置されたら獣プレイヤーは村カードをオープンする。その村に獣駒を配置する。その村に調査員駒がなければ血滴駒(犠牲者)を1つ村に置く。

最初の村
村カードの開示。マンド(Mende)の村に「獣」が出現しました。

獣出現 村
マンドの村に獣駒を配置する。

獣出現
ここから「獣」と調査員側との対決が始まります。マンドの村には調査員駒がないので血滴駒(犠牲者)を1つ置きます。写真では置くのを忘れてしまいました。。。。(汗)

ゲームの進行

1シーズンが1ターンとして最大12ターンまでプレイする。

1ターンは4つのフェーズからなる。

第1フェーズ シーズン
シーズンカードの公開
増援

第2フェーズ 獣
村カード(1年前)と足跡トークン(二つ前のシーズン前)の回収。
獣の移動

第3フェーズ 調査員
調査員の移動

第4フェーズ 恐怖
犠牲者の発生
調査


第1フェーズ シーズン
シーズンカードを表にする。カードに指定されたフェーズ時に記載された行動を行う。

シーズンカード 夏 第一ターン
最初のターンは1764年夏からなので夏のシーズンカードをオープンします。シーズンカードに表記されたフェーズで効果を実行します。

調査員側は村を一つ選び、竜騎兵(夏・春)か農民駒(秋・冬)を村のマス上に配置する。

竜騎兵(黒)が配置された村は「獣」による被害が出ません。
農民駒(白)が配置された村は「獣」による被害が1人減ります。

一度村に配置された竜騎兵駒や農民駒はゲーム終了まで動かすことはできません。

竜騎兵の配置
「獣」の襲撃に備えて調査員側は番号23の村、リュトール(Rieutort)に竜騎兵を配置。

第2フェーズ 獣

前の同じシーズン(1年前)に配置してあった村カードを回収し、二つ前のシーズンで配置した足跡トークンを回収する。

獣の移動

村カードと足跡トークンの配置
「獣」は4マスまで移動できる。ただし移動は全て村カードによって行う。
「獣」が移動可能な範囲の村カードから一つ選び、対応する「獣」のシーズンの場所(ゲームボードの右端側)に裏向きに配置する。
隣に足跡トークンを表向きまたは裏向きに配置する。

ジェヴォーダンの獣 能力_v5
足跡トークンを表向きにした場合、「獣」はそのトークンの効果を発動できる。ただし表向きにすることでリスクを伴う(第4フェーズ 「調査」の項参照)。この能力は「獣」の「真の正体」と関係なく発動し、足跡トークンが保持している限り何度でも使える。

第3フェーズ 調査員

調査員は0, 1, 2マスまで移動できる。集落マスに停まることも可。馬を使用した場合、3マスまで移動し、移動先で駒を横に寝かせる。

調査員側の移動
調査員側は「獣」の移動場所を予想して移動。3マス移動した駒は横に寝かせます。

第4フェーズ 恐怖
「獣」が配置した村カードをオープンし、その村に獣駒が移動する。

移動先公開
村カードを表向きにして公開。場所はサン・タマンの村

犠牲者の発生

獣駒が移動した村に調査員駒がなければ犠牲者がでる。

犠牲者の数 = 5 - 獣の移動した距離

移動過程
4マス移動したのでその村の犠牲者は(5 - 4 =)1人となります。

獣が移動した村に調査員駒や竜騎兵があった場合は犠牲者はでない。ただし3マス移動して横になっていた場合は調査員駒は村を護ることはできず犠牲者がでる。

調査

以下の条件が発生した場合、調査員の調査が入る。

獣が村に移動したとき、その村に調査員駒がある場合

獣が前のシーズンに襲った村に調査員駒がある場合

注:馬を使って横になっている駒も調査はできる。

上の条件が発生した場合、以下の手順を行う。

対応する村カードの隣に置かれた足跡トークンが裏向き場合は表にする。

表向きになっている足跡トークンに示された「獣の正体」の足跡を調査できる調査駒がその村にいる場合、その足跡トークンを回収できる。

このとき調査員側はこれが獣の真の正体か獣プレイヤーに尋ねる(後述)。

どちらも勝利条件(ゲームの終了の項参照)を満たしていない場合、次のターン(シーズン)に移る。

第4フェーズの具体的な流れを写真で説明します。

足跡トークン裏向き
第4フェーズの初め、「獣」は村カードをオープンします。「獣」はソーギュ(Saugues)の村に移動します。

調査員との遭遇
調査員側は「獣」の動きを読んでソーギュの村に調査員駒を配置させていました(この村では犠牲者が出ません)。

村カードと足跡トークン公開
このため、獣プレイヤーは裏返していた足跡トークンを表にしなければなりません。「オオカミの群れ」のトークンを使用していたことが判明します。

足跡調査能力
それぞれのキャラクターは獣の足跡を調査できる独自の能力を持っています。調査員のプレイボードの右上に調査できる足跡トークンが示されています。ソーギュの村にいる駒、マンドの司教(L'évêque de Mende)は「悪魔」と「浮浪者」の足跡を調査できますが、「オオカミの群れ」の足跡は調査できません。

ジャンの調査能力
「オオカミの群れ」の足跡を調査できるのはジャン・シャストル(Jean Chastel)です。つまり彼がこのシーズンにソーギュの村に着いていれば、あるいは次のシーズンにソーギュの村に着くことができれば「オオカミの群れ」の足跡トークンを回収することができます。

ジャンの位置
しかしジャン・シャストルのいる場所はソーギュの村まで5マスもあり、次のシーズンにソーギュの村に着くことはできません。
「獣」側はジャン・シャストルの位置を考えてこのシーズンに使う足跡トークンを選んでいました。

つまり「獣」は毎シーズン、各調査員駒の位置とそれぞれの調査能力を常に把握しながら足跡トークンを選ぶ必要があります。

ゲームの終了

第4フェーズ時、以下の勝利条件をいずれかが満たしてればゲーム終了。


獣側

第4フェーズで25人の犠牲者を出していれば即勝利
注:獣プレイヤーが勝つのはこの条件だけです。

調査員側

第4フェーズで足跡トークン回収時、その足跡トークンに表記された「獣」の正体と、ゲーム初期にボードに配置された「獣の正体」カード(獣の真の正体)と一致していれば調査員の勝利
もしくは獣の正体カード(真の獣の正体)以外の4つの足跡トークンを調査員側が回収した場合も調査員側の勝利

12ターンの終了時、上記の勝利条件をいずれも満たさなかった場合。

犠牲者の数と、獣プレイヤーがまだ保持している足跡トークンの合計が

25未満なら調査員側の勝利
25以上なら無効ゲーム



以上がルールですが、実際プレイした感覚や所感については次回の記事で紹介します。

ラ・ベート ジェヴォーダンの獣 背景と概要

今回は去年販売されフランスで人気の高いスコットランドヤード形式のボードゲーム「ラ・ベート (La Bête)」について紹介したいと思います。「ジェヴォーダンの獣(La bête du Gévaudan)」を題材としています。

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bêteとは英語でいうbeastに相当し、獣のことを指します。発音的には「ベット」が近いですが日本ではアクサン・シルコンフレックス( ^ )は長音に表記されることが多いので本記事では「ベート」にしました。

このゲームについては背景と概要、ルール、所感を三つに分けて紹介していきたいと思います。

背景

La bete
「ジェヴォーダンの獣」とは1764年から1767年にかけてフランスのジェヴォーダン地方を襲った正体不明の獣とそれによる獣害事件です。

ロゼール県
ジェヴォーダンは現在のロゼール県に位置します。

ジェヴォーダン地方とその周辺の地図
ジェヴォーダン地方とその周辺の地図

この正体不明の獣による襲撃は1764年6月から始まり、ジェヴォーダン地方の多くの村人(とくに子供、女性)が犠牲になりました。

この出来事はルイ15世の耳にも入り、王が現地に竜騎兵を派遣しています。
当時、周辺では狼の襲撃が相次いでいたので「獣」は狼と思われていましたが、目撃情報から狼とは異なる外見が報告され、この未知の獣の襲撃はジェヴォーダン地方の村人を恐怖に陥れました。

シェズの狼
1765年、王が派遣したフランソワ・アントワーヌによって「獣」と思われるオオカミが仕留められ、剥製となった「獣(オオカミ)」はベルサイユで披露されました。

しかし、その後も「獣」による襲撃は続き、2年後、地元の猟師ジャン・シャストルが「獣」を仕留めて事態が収束しました。

現在ではこの獣害事件の被害だけでなく、今に至るまで「獣」の正体がはっきりと判明していないことがフランスの歴史とフランス人の心に深く刻まれており、この事件を基にした映画もいくつか作られています。

「ジェヴォーダンの獣」については日本語でも多くの紹介サイトがあり、詳細については省きますがこのゲームはこの史実を基に実在した人物や村が登場します。

概要

ジェヴォーダン地方
ゲームボード

ゲームは獣側 vs 調査員側という形式をとり、最大で12ターンまでプレイします。

プレイヤー1人が正体不明の「獣」をプレイし、他のプレイヤーは調査員側の立場になってプレイする非対称型のゲームです。

獣と調査員駒
「獣」駒と調査員駒

獣プレイヤーは獣の正体を隠しつつジェヴォーダン地方の村を移動しながら襲撃し、犠牲者を増やしていきます。調査員側は獣の動きを読みながら襲撃を阻止したり、獣の正体を暴くように行動します。

獣側は3年(12シーズン(ターン))以内に25人の犠牲者を出せば勝ちとなります。
これに対して調査員側の勝利条件は『「獣」の正体を暴くこと』ですがこのほかにいくつがあります。

ゲーム開始時は1764年の春に獣の襲撃が始まるという設定になっています。

それ以降、1シーズンを1ターンとして夏から始まり、どちらかが途中で勝利条件を満たさなければ3年後の春までプレイします。
12シーズンを終えた状態で調査員側が別の勝利条件を満たしていれば調査員側の勝利となります。

スコットランドヤードは警察が犯人を捕まえれば勝ちですが、このラ・ベートでは調査員側が獣を捕殺するのではなく、「獣」の正体を暴くというのが基本的な勝利条件になっています。

史実では「獣」の正体として考えられているのは、オオカミの群れ、ハイエナ、狼犬、あるいは事件の背後には実は人間が関与していた等さまざまな説がありますが、本ゲームでは獣プレイヤーは5つある正体のうち1つを選んでプレイします。

獣の正体カード
「獣」の正体カード

「獣」プレイヤーは狼の群れ猛獣伯爵悪魔浮浪者のうちどれか1つを選び正体がばれないようにプレイします。

プレイ風景1
次回の記事でルールについて解説したいと思います。

FOCUS

最近、2人ゲームをする機会が多くなり、フランスで評価が高い2人用ゲームを買うようになりました。その中で今年発売のゲームで変わった意味で注目したいゲーム、フォーカス(FOCUS)を紹介したいと思います。

Boite.jpg
同名の作品はいくつかありますが、こちらはOldchap社から出ている作品です。最近の2人用ゲームではコンプリス(Complice)などを出しています。

ちなみにフランス語でfocusに相当するのは
mettre au point (メットル オ ポワン)

協力型の2人用ゲームです。

一応設定ではワトソン博士が長い冬の夜を楽しめるようホームズのために発明したゲームとなっています。
ゲームはいくつかのモードに分かれていますがそれぞれシャーロックホームズにちなんだモード名となっています。

ルールを読むとまず練習モードのような説明から始まります。そしてこの練習モードをクリアすると実際のゲーム(シャーロックモード)をプレイしてもよいという流れになってます。

カードは証拠品カードと目印カードの2種類です。

準備

証拠品4枚のカードを横1列に並べ、その下に4x4の証拠品カードを並べます(下写真参照)。

mise en place

各プレイヤーは目印カードを受け取ります。相手に見せないように証拠品の位置を確認します。

Sherlock side
プレイヤーAの目印カード。

Watson side
プレイヤーBの目印カード。

証拠品
これは16枚の証拠品カードのうち自分のカードの位置を示しています。向きは上の4枚のカードの場所を基準にします。

今回、プレイヤーAは「双眼鏡」、プレイヤーBは「パイプ」になります。

ゲームの流れ

ゲーム中、2人のプレイヤーは会話することができません。
各プレイヤーは自分のカードがどれかを会話なしで相手にわかるようにプレイします。

このゲームではスタートプレイヤーを決めません。2人のうちいずれかが必ず上段にある4枚のうちどれかを自分の手元に持っていきます。

これ以降は交互にプレイし、1枚ずつカードを取って自分の手元に配置します。上段のカードあるいは4x4の16枚カードどれをとっても構いません。

勝利

相手と自分のカードが最後まで残ったら勝利。次のシャーロックモードに進みます。

敗北

途中で相手のカードを取ってしまったら即敗北。

プレイ例

premier jeu
プレイヤーBの証拠品カードは「パイプ」。煙をイメージさせる機関車のカードをプレイヤーBは上の4枚のカードの中から選びました。

tour de sherlock
プレイヤーAはこの時点でプレイヤーBのカードが「パイプ」か「葉巻」なのではと考えます。「乗り物」をイメージさせたい「ヨット」の可能性も考慮しておきます。これらのカードを取らないようにしてほかのカードを見て、「双眼鏡」をイメージさせるカードとして「月」のカードをとります(実際は月を観るなら望遠鏡を使うところですが...)。

2eme tour de watson
プレイヤーBは相手が自分のカードを「葉巻」か「パイプ」か悩んでいるだろうと考え、「葉巻」を取って候補から外します。
ちなみに初手で「葉巻」のカードを取ることはできません。初手は必ず上の4枚のカードのうちどれかから選ばなければならないので「葉巻」カードの回収は後回しになりました。

2eme tour de sherlock
プレイヤーAはバードウォッチングをイメージしてほしいという目的で「鳥の巣」のカードを取りました。

jeu en cours
カードが少なくなるとほぼこじつけに近い感じでカードを回収する感じになっていきます。この時点で相手にカードがわかってもらえればしめたもの。

Vous avez gagne!
見事に最後までお互いのカードを回収せずに残りました!!。。。。。と、ここからが本番です。

シャーロックモード

準備は上の練習モードと一緒です。

違いは

プレイ途中で相手の証拠品カードがわかったら手番に関係なく手を挙げてお互いのカードがわかったかの判定を相手に提案します。

相手がこちらのカードがまだわからず、拒否した場合はそのまま続行します。この後提案する権利は相手しかできません。

相手が了承した場合、合図で相手の証拠品(と思われる)カードを同時に指さします。

両方正解の場合

場に残ったカード(上段のカードも含む)の枚数が得点

一人だけ正解した場合

場に残ったカード(上段のカードも含む)の枚数÷2(端数切捨て)が得点

どちらも間違えた場合

0点

3回プレイして合計点を出します。獲得得点により5段階の評価が下されます。
もし40点を超えたなら別のモード(マイクロフトモード)に挑戦できます。

これ以外に特定のカードの組み合わせを使った「ハドソン夫人」などがあります。

所感

初めてルールを読んだときは「え、これ無理ゲーでは?」という気持ちになりました。あまりにシンプルすぎるルールというか、これほど極限までにそぎ落としたルールでゲームが成立するのか。。。というのが正直な感想でした。

良くも悪くもフランスらしいといえますが、これほどまでに「フランスのゲーム」を感じさせ、これほどプレイヤーの感性任せのゲームはあまり見たことがありません。

カードゲーム、サンドウィッチもそんなところはありますが、あちらはそもそもパーティーのりでOKで会話しまくりのゲームなのでどういう展開になってもゲームとして楽しく成立しています。

このゲームは会話ができないため、ゲームを始めるにはとにかく最初の上にある4枚のどれかを取るのですがカード構成によってはお互いに取れない状況になることは容易に想像できます。

なんとか最初のカードを取って相手に自分のカードをそれとなく暗示できたとしても場にあるカードがなくなっていくと必ず自分のカードとはまったく関係のないカードが残っていきます。そこでカードを取った時、「これはもう関係ないカードだからとりあえず除いておくね」とは言えません。

それゆえ自分が取っていったカードのどこからが関係のないカードなのか相手がわからないと、もう相手は混乱するしかないわけです。
これはカオスになること必至。

それでこのゲームを実際にフランス人がプレイしている動画を見てみました。やはりうまくいくときと行かないときがありますがいずれにせよ楽しそうにプレイしています。

実際のところどうなのか、試しにフタリゲーム会でテストプレイしてもらいました。

何人かの人にプレイしてもらいましたが、やはりゲームの難易度はカード構成に大きく依存します。

上のプレイ例では比較的わかりやすいカード構成ですが、たまに全く無理だろうというカード構成に出くわします。

プレイ風景2
いやこれはプレイしているプレイヤーに申し訳ないなーと思っていたらどうしてどうして皆さん意外な方法でヒントを出し、相手も「なるほど」とカードを予想していきます。経験豊富なゲーマーというのは極限のルールに絞り込まれてもアイデアを捻出できるものなのだと感心しました。

よく考えたらこういった絵柄で連想させるゲームはすでに多く出ていて「ディクシット」、「ミステリウム」、「シャドウズアムステルダム」「ピクチャーズ(広い意味で)」など会話をせず絵柄だけで相手に伝えるゲームをプレイしてきた人たちには突破口をなんとかして見つけてしまうようです。うまい人だと最初の1枚目で相手がわかってしまうほどです。

プレイ風景3
最初に取るべきカードが全く思いつかないときは二人とも膠着状態になるのですが、この間を見て相応しいカードがお互いにないと判断し、時間のかかり具合でどれほど程遠いのかが判断できてしまうようです。そういえば「ザ・マインド」もそういうゲームでした。。。

また周りの人たちも2人の証拠品カードがどれかを予想するという思わぬ楽しみ方をしていました。カード右下には数字が書かれているので周りの人が紙に予想したカードの数字を書いてお互い合っているか笑いながら楽しんでいました。ゲームの外からゲームを楽しむゲーマーがいるとさらにゲームは楽しくなります。

フランス人がこのゲームをプレイしている動画を見るとこういった難易度の高い状況になった時はおたがいアドリブで楽しんでいるようです。失敗した場合でも自分の意図していたことを相手に説明してそこでの考え方の違いの落差にお互い笑いが起こります。苦境になっても楽しくする雰囲気作りはフランス人はお得意です。
この雰囲気(ambiance アンビヤーンス)こそが、フランス人がゲームを評価する上で重要な要素なのでこのゲームがフランスで人気がある理由がわかります。

まとめ


プレイ風景1
このゲームをどれだけ楽しめるか否かはもうプレイヤーの感性次第。
サンドウィッチが好きな人なら間違いなくおすすめ。
サンドウィッチをプレイしたことがなくてもアドリブが大好きな人なら楽しめるでしょう。シンプルゆえに楽しみ方もいろいろ。
普通に二人ゲームとして楽しんでもよし、周りも一緒に予想に加わって楽しむのもよし、はたまた誰がベストペアか総当たりで遊んで「どのペアがお互いを知っているか」を知るのもよしです。
2人用ゲームですがシンプルなルールゆえ友人同士のパーティーや家族でも十分楽しめます。

海賊達の宿

最近、ゲーム会などで重いゲームに誘われることも多くなりましたが、結構頭を使うので終わったあとはどっと疲れます。。。
そういった重いゲームの後は軽めのゲームをすることが好まれます。こういったゲームは日本では「つなぎのゲーム」、英語ではフィラー(filler)と呼ばれ、ある意味重宝されます。

Case.jpg
今回は軽い「フィラー(つなぎ)」のゲーム、「L’AUBERGE DES PIRATES(ロベルジュ・デ・ピラト) [海賊達の宿*]」について紹介したいと思います。

*aubergeとはホテルよりは小さい規模の「宿屋」などを指しますが海賊が宿屋を経営するのはピンとこないので家に近い意味での「宿」と訳しました。「L’AUBERGE DES PIRATES」という言葉が何かフランスの文学作品で出てくるかと思って検索を掛けてもこのゲーム名しかヒットしないのであまり一般的な使われ方ではないようです。


トリックトラックでの評判も良く、数年前に購入したのですが、ルールを読む限り、運の要素が強く負け抜けのゲームであるため、ゲーム会で紹介するのはためらっていました。
 最近、試しに子供が参加する会で紹介してみたところ、子供に思ったより気に入ってもらえ、また大人からもネガティブな意見がなかったので意外にも安心しました。

another game
ルールもシンプルなので普段ほとんどゲームをしない人同士で集まったときに特におすすめしたいゲームです。2~8人までプレイできます。
ただゲーム会でプレイするならあくまで「つなぎ」としてプレイするのがいいと思います。

ゲームの目的

手札と自分の前に公開されたカードでペア(2枚の同じ数字のカード)ができないように、あるいはばれないようにプレイして脱落せずに最後まで残ることを目的とします。

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1から10の数字が書かれたカードがあり、カードの数字がその枚数と一致しています(1が1枚、2が2枚・・・10が10枚。計55枚)。

ゲームの流れ

山札から各人に3枚カードを裏向きに配る。

各プレイヤーは配られた3枚の手札から一枚を選び同時に自分の前に表向きにして公開する。

一番数字の小さいカードを出したプレイヤーから始める。

手番では以下の4つのうち1つをプレイする。

1) 攻撃する
2) チャレンジする
3) 告発する
4) 山札から1枚引き手札に加える。

1) 攻撃する

手札から1枚選び、他のプレイヤーの前に配置する。ただし攻撃されたプレイヤーの前にすでに置いてあるカードの数字と同じ数字のカードは配置できない。攻撃された人の手番に移る。

2) チャレンジする

山札の上のカードを表を見ないで取り、他のプレイヤー一人を選んだあと、そのプレイヤーの前でカードを表にする。

チャレンジしたカードと、チャレンジされたプレイヤーの前に公開されたカードの中でペアができなければチャレンジ成功(カードはチャレンジされたプレイヤーの場に公開されたカードに加わる)。チャレンジされたプレイヤーの手番に移る。

チャレンジしたカードとペアになった場合、チャレンジしたプレイヤーは脱落する。チャレンジしたプレイヤーの左隣りからプレイする。

3) 告発する

プレイヤー一人を選び、告発する。告発されたプレイヤーは告発したプレイヤーにのみ自分の手札を見せる。

 告発されたプレイヤーの場に公開されたカードと手札合わせてすべてのカードの中でペアがあったら告発されたプレイヤーは脱落する。告発したプレイヤーの左隣りのプレイヤーの手番に移る。

 ペアがない場合、告発したプレイヤーが脱落する。告発されたプレイヤーの手番に移る。

4) 山札から1枚引き手札に加える

もし引いたカードが手札や場のカードとペアになっても何も起きない(ポーカーフェイスをしてよい)。左隣のプレイヤーの手番に移る。

ゲームの終了

最後まで残った人の勝ち

所感

運の要素は強い。これは紛れもない事実ですが、どのプレイをして後悔しないか、選択肢が一つではないため、そこにスリリングな度胸試しと駆け引きの要素があります。

基本的に「攻撃」は強いのですが(手札が減るうえ、他のプレイヤーの前に公開されるカードが増える)ゲームが進むとそのうち攻撃できなくなります。するとチャレンジや山札から手札に加えるなどのプレイになるのですが、いままで攻撃ばかりしてきた人が急に山札を引くことで手持ちのカードがばれてしまうため、たちまち狙い撃ち(告発)されてしまいます。
そこで攻撃できるカードがあってもあえて出さず、他のプレイヤーからの告発を誘発するように仕掛けるプレイが重要になります。これをしないと毎回狙い撃ちされ山札からの運頼みの引きゲーになってしまいます。リスクではありますが、ブラフをするプレイを一度はしたほうがお互い駆け引きが生まれるため他のプレイヤーも告発での勝負を後に回すことを選択肢に考えます。

この展開になると我慢比べと度胸試しのせめぎ合いになります。いずれにせよ各プレイヤーの場に公開されていくカードは増えていくため、チャレンジのリスクは高まり、告発が成功するチャンスは上がります。問題は「いつ」「誰が」するかです。その押し付け合いはときに笑いが起こります。こういう時にブラフ好きな人がいると会話が実に楽しいし、盛り上がります。

危惧されていた負け抜けのシステムですがいったん脱落者が出始めるとどんどん他のプレイヤーも脱落していくのでそこまでずっと待たされるということはないです。また脱落しても他のプレイヤーの生き残りプレイや会話を見ているのも楽しいです。


プレイ風景1

challenge failed!!
チャレンジ失敗例。手前のプレイヤーの場には7のカードが1枚のみ。7のカードがすでにいくつか場に出ているため、他のプレイヤーがチャレンジをしましたが、出た数字はまさかの7!!。チャレンジしたプレイヤーの脱落です。

プレイ風景2

hands 01
9や10などの大きい数字の手札はなるべく早く処理(攻撃で他のプレイヤーに押し付ける)したいところですが、小さい数字のカートをどう使うかがこのゲームの面白いところです。終盤でも攻撃に使いやすいですが手札にキープすることで他のプレイヤーからの告発を誘導できます。自分の手番でチャレンジや山札から引いて新たに1枚手札に加えるとリスクはありますが、リスクを取らずして相手をだますことはできません。

プレイ風景3

hard to challenge
自分の手番で手札がない。したがって攻撃はできないのでチャレンジか、告発か、山札から1枚引くかのいずれか。
さてどうするか。

場には
自分 5, 7, 8, 9
左  8, 10
正面 2, 4, 7, 9, 10
右 5, 6, 7, 10

左と右のプレイヤーは手札なし、正面は手札2枚

チャレンジするにはほかのプレイヤーはすべて10を出しており、山札から10を引く可能性は大。。。
それでもチャレンジするなら左が2枚と少ないから左にチャレンジ?

正面は場に5枚。手札に2枚ならペアになっている可能性大。告発が成功する可能性は高い、いやひょっとして誘っているのでは??。。。

ここは危険を回避して山札から1枚引くか。。。10はないとはいっても7. 8, 9を引く可能性は大。。。他のプレイヤーに告発されるよなぁ。。。でも2とか3を引ければ逆にチャンス!!!

などと結構悩みます。

まとめ

運の要素が強いブラフゲームなのでゲーム会でヘビーなカードゲームだけをプレイする人たちとプレイすると「うん、ただの引きゲーだね。」と言われる可能性もありえます。ただヘビーゲーマーでもカードのカウンティングをしっかりしてきて確率や読みあいを楽しむプレイヤーもいたので一概には何とも言えません。

ゲーム会では負け抜けルールもあらかじめ納得してもらい、あくまで「つなぎ」として紹介しておくのが無難でしょう。参加者にもよりますが個人的には結構楽しんでもらえるのではと思っているのですが。。。

game on going
とくにお勧めするのはやはり普段ほとんどゲームをしない人達と時間を気にせずに飲みながら遊ぶか、修学旅行中の新幹線の中で(騒がずに)プレイする等がいいでしょう。
 プレイ人数は最大8人までですが時間がかかるので6人くらいまでがちょうどいいような気がします。

追記:その後、いろんなゲーム会で紹介したところ、思った以上に受けました。ヘビーゲームを好む外国人が集まるボードゲーム会に持って行ってみましたがそこでもめちゃめちゃ受けました。今のところ「ハズレなし」です。それほど値段の高いわけではないのでコスパはかなりいいゲームといえます。